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ネギ軟腐病に対する非病原性Erwinia carotovora水和剤の降雨後散布あるいは散布後潅水による防除効果の安定化


[要約]
シラス土壌における、発病前〜少発生時の根深ネギ軟腐病に対して、非病原性Erwinia carotovora水和剤(商品名:バイオキーパー水和剤)を降雨後に散布、もしくは散布後に潅水することで、安定した防除効果が得られる。
[キーワード]
ネギ、軟腐病、バイオキーパー水和剤、生物防除、土壌水分、効果の安定

[担当]
鹿児島農試・病虫部

[代表連絡先]電話099-268-3224	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
非病原性Erwinia carotovora水和剤(商品名:バイオキーパー水和剤)はジャガイモ、キャベツ、レタス、ネギ等野菜類の軟腐病に対して登録を持つ。しかしながら、根深ネギでは時に効果が不安定である。この理由として、根深ネギは栽培期間が長く、また栽培中に4〜5回行われる土寄せ作業により、軟白部に傷が付きやすいため、軟腐病の感染機会が多いことが挙げられる。根深ネギで本剤の防除効果を発揮するためには、本製剤菌の地下部での定着が不可欠であり、そのための処理条件を明らかにする必要がある。そこで、散布前後に降雨が有る、あるいは散布後に潅水を行う条件で、バイオキーパー水和剤の処理を行い、根圏土壌への浸達・定着をねらい、安定的に防除効果を得る処理方法を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 根深ネギ栽培において、7〜10日間隔のスケジュール散布では、バイオキーパー水和剤の軟腐病防除効果は低い(図1)。

  2. バイオキーパー水和剤200リットル/10aを、降雨後にネギ株上より散布するか、散布直後に水約30mm/hrをほ場全体に10分間潅水すると、高い軟腐病防除効果が認められる(図1)。

  3. 本剤の効果を発揮するためには、ネギ軟腐病発病前から予防的に処理を開始することが必要である(図2)。

  4. 以上のことから、ネギ軟腐病発病前〜少発生時に、バイオキーパー水和剤を散布し、潅水や降雨を利用して処理後の土壌水分を高めることで、本剤の効果的な利用が図れる。

[成果の活用面・留意点]
  1. JAS規格に適合する有機農産物の生産時に利用できる。

  2. 軟腐病多発条件では、降雨後の散布や散布後潅水等を行っても防除効果が発揮されない恐れがあるので、予防〜少発生時の散布を厳守する。

  3. 本試験はシラス土壌で行っており、他の土壌の種類と有効性、および最適あるいは最低有効潅水量や作用機作については、今後検討する必要がある。

[具体的データ]

図1 根深ネギ軟腐病に対するバイオキーパー水和剤散布後の潅水や降雨の有無と防除効果の関係


図2 発病前と発病後の根深ネギ軟腐病に対するバイオキーパー水和剤の防除効果

[その他]
研究課題名:環境保全型農業をめざした露地野菜土壌病害の生物防除技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度


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