メロンえそ斑点病汚染土の活性に及ぼす保存温度と含水率の影響
- [要約]
- メロンえそ斑点病汚染土中のオルピディウム菌の活性は、保存温度や含水率の変化にあまり影響を受けないが、MNSVは、含水率の低下に大きな影響を受ける。含水率約16%の汚染土を摂氏4度下で保存することにより、病原性は少なくとも1年間は保持される。
- [キーワード]
- メロン、えそ斑点病、MNSV、汚染土、保存、温度、含水率
- [担当]
- 長崎総農林試・環境部・病害虫科
[代表連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
- メロンえそ斑点病は、メロンえそ斑点ウイルス(MNSV)を病原とするウイルス病で、土中に生息するオルピディウム菌(Olpidium bornovanus)によって媒介される。また、本病に対する臭化メチル代替薬剤や抵抗性品種、拮抗微生物などの新たな防除資材の検索や基礎効果試験には、汚染土を用いた室内幼苗検定(松尾ら、2003)が有効で、効率的である。そこで、年間を通して本検定を安定的に行うため、本病汚染土の保存温度と含水率が、媒介菌と病原ウイルスの活性に及ぼす影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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オルピディウム菌は、汚染土の保存温度(摂氏4度、摂氏20度)や含水率(約4〜17%)の変化等にはあまり影響を受けず、1年間以上活性を保持する(表1)。
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病原ウイルス(MNSV)は、汚染土の含水率の低下に大きな影響を受け、摂氏20度風乾条件下では保存2ヶ月後には活性を失する。また、温度の影響は比較的受けないが、半年間以上の長期保存では、摂氏20度下より摂氏4度下で安定して病原性を保持する(表2、図1)。
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汚染土の含水率が低下しないように保存すると、摂氏20度下では約6ヶ月間、摂氏4度下では少なくとも1年間は病原性が保持される(図1)。
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[成果の活用面・留意点]
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本情報での供試土壌は、細粒黄色土の壌土である。
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汚染土の含水率の低下は、MNSVの活性に大きく影響することから、発病圃場土壌の乾燥化による本病防除効果を今後検討する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 メロンえそ斑点病汚染土の各種保存条件下における媒介菌Olpidium菌の活性および土壌含水率の推移

表2 メロンえそ斑点病汚染土の各種保存条件下におけるMNSVの病原性の推移a)

図1 各種保存条件下のメロンえそ斑点病汚染土からのMNSV室内幼苗検定におけるELISA値(3株平均)の推移
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[その他]
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研究課題名:微生物の防御機能を利用したメロンえそ斑点病防除技術の緊急開発
予算区分 :受託(農林水産高度化事業)
研究期間 :2003〜2005年度
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