成分調整成型堆肥を用いたアスパラガスの減化学肥料施肥技術
- [要約]
- アスパラガスにおいて牛ふんと油粕を乾物重量比で1:1に成分調整成型化した堆肥とシグモイド120日タイプ被覆尿素肥料を組み合わせた施肥法は慣行と同等の収量が得られ、4月の立茎開始時期以降の化学肥料窒素施肥量を60%軽減できる。
- [キーワード]
- 成分調整成型堆肥、アスパラガス、減化学肥料
- [担当]
- 長崎総農林試・環境部・土壌肥料科、九州沖縄農業研究センター
[代表連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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アスパラガスの半促成長期どり栽培では、堆肥施用が重要視されているが、堆肥の肥料効果を考慮していない肥培管理となっている。そこで肥効を把握しやすい成分調整成型堆肥(以下「堆肥ペレット」)を用いてアスパラガスの立茎開始以降の減化学肥料施肥技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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アスパラガスの収量は、堆肥ペレットとシグモイト型120日タイプ被覆尿素肥料を同時に施肥すると4月以降の化学肥料窒素施肥量を60%削減しても慣行と同等程度である(表1、表2)。
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堆肥ペレットとシグモイド型120日タイプ被覆尿素肥料を用いると、作土中の硝酸態窒素濃度は、安定した濃度(3〜5mg/100g)で推移する(図1)。
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堆肥ペレットとシグモイド型120日タイプ被覆尿素肥料を用いた場合、深さ5〜15cm跡地土壌中の交換性塩基、可給態リン酸は試験前土壌と比較して蓄積や減少が少ない(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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堆肥ペレットは九州沖縄農業研究センターにおいて牛ふんと油粕1:1で混合し、ディスク・ダイ方式により直径5mmに成型化したもので、従来多く用いられている牛ふんを主体とした堆肥より窒素で4倍、乾物率で1.5倍になり、堆肥施用量と労力の軽減が期待できる(表4)。
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埋設試験の結果、堆肥ペレットの窒素成分肥効は4月上旬施用後1ヶ月間で50%が分解し、その後緩やかとなり、10月までに60%が分解する。
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細粒黄色土の試験であり、異なる土壌条件の違いによる検討が必要である。
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堆肥ペレットを複数年次連用する場合には、土壌養分の蓄積を注意する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 試験区の構成

表2 アスパラガスの夏芽上物収量

図1 作土中の硝酸態窒素濃度

表3 層位0〜15cm跡地土壌中の交換性塩基及び可給態リン酸(10/29調査) 
表4 供試堆肥ペレットの無機成分含量
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[その他]
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研究課題名:たい肥等有機物・化学肥料適正使用指針策定調査
予算区分 :国庫助成(土壌機能増進)
研究期間 :2000〜2004年度
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