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キャベツ連作畑における亜酸化窒素発生削減に有効な施肥および残渣管理技術


[要約]
キャベツ連作ほ場において、異畜種のブレンドたい肥あるいは肥効調節型肥料を使用すると、キャベツ収量は化学肥料施肥とほぼ同等で、亜酸化窒素発生量をそれぞれ38〜66%、9〜16%削減できる。また、収穫残渣をほ場外へ搬出する残渣処理も有効である。
[キーワード]
亜酸化窒素、肥効調節型肥料、緩効性窒素肥料、ブレンドたい肥

[担当]
熊本農研セ・生産環境研究所・土壌肥料研究室

[代表連絡先]電話096-248-6447	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
農耕地から発生する亜酸化窒素など温室効果ガスの環境に及ぼす影響が指摘され、その発生動態の解明ならびに発生抑制技術の開発が強く求められている。そこで、同一ほ場に家畜ふん堆肥等の有機物や化学肥料が連続して投入される露地野菜栽培における亜酸化窒素削減に有効な土壌管理、施肥管理技術を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. キャベツ連作ほ場における亜酸化窒素の排出係数は0.07〜0.17%と低いが、肥料の基肥施用後と収穫後のキャベツ残渣鋤き込みにより、最大で6.2mg/m2/day発生する(図1表1)。
  2. 牛ふん堆肥と発酵豚ぷんを成分調整したブレンドたい肥を施用する場合、キャベツの収量は標準比88〜102%であるが、亜酸化窒素の削減率は38〜66%と標準(化学肥料)施肥よりも低減される(図2表1)。

  3. 肥効調節型肥料では、被覆複合肥料を全量基肥施用した場合、キャベツ収量は標準の78〜112%、緩効性窒素肥料を施用した場合、87〜104%とほぼ同等となり、亜酸化窒素の削減率はそれぞれ-1〜31%、9〜16%といずれもガス発生が抑制される(図2表1)。

  4. キャベツ残渣をほ場外に持ち出した場合、亜酸化窒素発生量は残渣をほ場に残した場合に比べ90%以上減少するので、収穫残渣をほ場外へ持ち出す残渣処理は亜酸化窒素削減に有効である(図3)。

  5. キャベツ残渣のほ場内への鋤き込みは、鋤き込まずそのまま放置した場合に比べると亜酸化窒素発生量は約半分に減少でき削減効果がある(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 畑土壌(厚層多腐植質黒ボク土)で行われる露地野菜栽培が技術の対象である。

  2. 標準区は慣行施肥として尿素、過燐酸石灰および硫酸加里を使用。家畜ふんたい肥は牛ふん堆肥と発酵豚ぷん、肥効調節型肥料は緩効性窒素肥料(商品名:ハイパ-CDU)と被覆複合肥料(商品名:ロング424、70日タイプ)を使用した。
  3. 標準区の施肥量は基肥として12-20-10kg/10a、追肥として12-0ー10kg/10aである。ブレンドたい肥では10a当たり23kg窒素相当量になるように牛ふん堆肥2t/10aと発酵豚ぷん0.5t/10aを施用。肥効調節型肥料では、いずれも24kgN/10aを全量基肥施用した。

[具体的データ]

図1 亜酸化窒素発生の経時的変化


表1 亜酸化窒素排出係数


図2 施肥の違いによる作期別収量


図3 亜酸化窒素発生量に及ぼす残渣管理の影響

[その他]
研究課題名:施肥窒素による亜酸化窒素発生制御技術の定量的評価
予算区分 :地球環境研究総合推進費
研究期間 :2003〜2005年度


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