家畜ふん剪定残さ堆肥の肥効を勘案したレタス三作連続栽培における施肥法
- [要約]
- 沖縄本島南部地域の未利用資源である剪定残さを原料として用いた牛ふん堆肥と豚ふん堆肥をレタス三作連続栽培でそれぞれ3.5t/10a、4.6t/10a施用することでカリの無化学肥料栽培が可能で、豚ふん堆肥についてはリン酸の無化学肥料栽培も可能である。
- [キーワード]
- レタス、剪定残さ、堆肥、減肥、肥効率
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・化学部・土壌微生物肥料研究室
[代表連絡先]電話098-840-8503
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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地域資源を有効活用する観点から、沖縄本島南部の未利用資源である剪定残さを用いた新しい家畜ふん堆肥が有望視されている。また、レタス栽培で一般的に堆肥が用いられるが、その種類の多さや成分値のばらつき等から、堆肥の肥効を考慮しない施肥がなされてきた。そこで、レタス三作連続栽培において、家畜ふん剪定残さ堆肥を用いた堆肥の肥効を勘案した施肥法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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堆肥成分量と想定した肥効率から、堆肥現物1tからの養分供給量はそれぞれ、窒素3.3〜6.1kg、リン酸4.4〜23.9kg、カリ7.6〜15.6kgであると考えられた(表1)。
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カリを基準に考え、レタス三作分に必要なカリ55kg/10aを堆肥で供給できる施用量は牛ふん堆肥で3.5t/10a、豚ふん堆肥で4.6t/10aであった(表1、表2)。
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堆肥からの養分供給だけでは足りない窒素やリン酸について化学肥料を施用したが、豚ふん堆肥4.6t/10a施用すると堆肥のみでリン酸の供給が十分であった(表2)。
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1作目において豚4.6t区は収量(結球重)が軽かったが、窒素吸収量や1作跡土壌の硝酸態窒素濃度が低いことから、化学肥料の窒素の増肥が必要と考えられた(図1、表3、表4)。
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牛3.5t区の収量(結球重)は三作を通して慣行堆肥区や豚ふん堆肥区と同等かそれ以上であるが、3作跡地土壌の交換性カリは若干減少した(図1、表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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ジャーガル(軟岩型普通陸成未熟土石灰質)でのレタス三作連続栽培に適応できる。
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堆肥の成分値や腐熟度、堆肥の前歴や連用等により、肥効が変化すると考えられる為、土壌分析値と併せて活用する。
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[具体的データ]
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表1 堆肥現物1t中の成分量及び想定肥効率により期待される有効成分

表2 堆肥からの養分供給量と各作化学肥料施肥量とその合計

図1 収穫期におけるアール当たりの収量(結球重)

表3 収穫時におけるレタス地上部の養分吸収量

表4 栽培前及び各作収穫跡の土壌分析値
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[その他]
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研究課題名:家畜ふん尿バガス等有機性資源利用による土壌理化学性の改善
予算区分 :沖縄広域連携
研究期間 :2003〜2005年度
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