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スイゼンジナの収量、ミネラルおよび機能性成分の生育時期別特徴


[要約]
スイゼンジナの収量は秋冬栽培が冬春栽培に比較して高い。ミネラル成分はホウレンソウ、シュンギクに比較して、カルシウムおよびマグネシウム含量が高いが、後者は生育時期による変動が大きい。機能性成分は、ポリフェノール含量が高く、抗酸化能もホウレンソウよりも高い。またアミノ酸としてγーアミノ酪酸を多く含有する。

[キーワード]
スイゼンジナ、緑黄色野菜、ミネラル、機能性成分
[担当]
熊本農研セ・生産環境研・土壌肥料研究室

[代表連絡先]電話096-248-6447	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
スイゼンジナは熊本県で地場生産されているキク科多年生の野菜であるが、消費量は少なく出荷も伸び悩んでいる状況にある。しかし、最近の健康ブームにより色素や機能性成分等を含有する緑黄色野菜の一つとして注目を浴びている。そこで、スイゼンジナの地産地消を進めるため、その生育時期別の成分的特徴を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. スイゼンジナの収量は、秋冬作の8月が1株当り320g程度、冬春作の2月が50g程度と前者で多く、栽培時期によって約6倍の収量差がみられる(図1図2)。

  2. スイゼンジナは、ホウレンソウ、シュンギクに比べミネラル成分が高い。新鮮物100g当りのミネラル含量はカルシウムで平均155mg、マグネシウムで平均76mgである。カルシウムの生育時期による含量の変動は少ないが、マグネシウムはいずれの作型とも生育するにつれて増加する(表1図3)。

  3. スイゼンジナ中のポリフェノール含量は、新鮮物100g当り平均115mg(没食子酸相当)と他の緑黄色野菜と比べて高く、抗酸化能は新鮮物100g当り平均89mg(アスコルビン酸相当)とホウレンソウよりも高い活性を示す。ポリフェノールおよび抗酸化能は時期的変動が比較的大きい(表1図4)。

  4. スイゼンジナにはアミノ酸が、乾物1g当りアスパラギン酸、グルタミン酸およびスレオニンが平均32.9〜40.0μmol程度含まれるが、γ-アミノ酪酸含量は平均1344μmolと非常に高いことが特徴である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 厚層多腐植質黒ボク土におけるスイゼンジナの隔離床栽培が技術の適用対象である。

  2. 施肥法は牛ふんたい肥2t/10aと複合化成肥料をN:P2O5:K2O=20:25:20kg/10aを基肥とし、1月当たり窒素を2kg/10aの割合で追肥する。
[具体的データ]

図1 スイゼンジナ秋冬作の生育状況


図2 スイゼンジナの生育時期別収量(g/株)


表1 各種の緑黄色野菜可食部中の成分含量


図3 カルシウムおよびマグネシウムの時期的変動


図4 ポリフェノールおよび抗酸化能の時期的変動

[その他]
研究課題名:地域特産農産物の健康増進機能成分の季節変動調査
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2005年度


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