イチゴパッケージセンター利用による個別経営と農協販売への効果
- [要約]
- イチゴパッケージセンターを利用した場合の個別経営の規模拡大効果を試算すると、現行の19.8aから31.5aへ約12aの規模拡大が可能になる。所得は3,808千円で702千円程度増加する。また、パッケージセンターは多様な荷姿・規格の荷造りができるため、農協直販において取引先からの多様な要求に迅速に対応できる効果がある。
- [キーワード]
- パッケージセンター、調製作業、労働時間、規模拡大、所得、イチゴ
- [担当]
- 福岡農総試・食品流通部・経営マーケティングチーム
[代表連絡先]電話092-924-2972
[区分]九州沖縄農業・農業経営
[分類]行政・参考
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[背景・ねらい]
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イチゴパッケージセンターは、イチゴの生産の中で最も労働時間を要する「パック詰め作業」を代行することで、生産者の労力を大幅に軽減し、個別経営での規模拡大による所得向上、また、運営主体の農協にとっては多様な商品対応による販売面での効果が期待されている。しかし、パッケージセンター利用に関しては、生産者の委託料負担に伴う所得の減少が課題となっている。本課題ではパッケージセンターを利用した場合の労働時間の減少による個別経営への効果を明らかにする。また、従来は市場出荷を主体としていた福岡県南部の広域流通産地において、パッケージセンターを導入したA農協の販売面への効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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福岡県の平均作付面積の19.8aを素材に試算すると、パッケージセンターを利用した場合の労働時間は3,648時間から2,288時間に37%減少し、所得は3,106千円から2,389千円に23%減少する。利用しない場合と同等の労働時間を基準に規模拡大効果を試算すると、現行の19.8aから31.5aへ拡大し、約12aの規模拡大が可能になる。所得は3,808千円で、利用しない場合よりも702千円(23%)増加する。家族労働1時間当たり所得は7%増加し、所得率は8%程度低下する(表1)。
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現行規模でパッケージセンターを利用した場合、調製作業時間の削減により収穫期の労働ピークが緩和される。19.8aから31.5aへ作付規模を拡大しても、3月から4月にかけての収穫最盛期の労働時間は利用しない場合よりも減少する(図1)。
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パッケージセンターは、従来の300gパック以外に取引先の多様な要求に対して、少量パックや業務用、ギフト用化粧箱といった荷姿を取り扱い、また17種におよぶ容量の規格に対応している。その結果A農協はパッケージセンター導入以降、農協直販の比率を14.3%から20.9%へ高めている(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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個別農家へパッケージセンターの利用効果を示す場合や、パッケージセンターを農協の販売戦略に活用する際の基礎資料となる。
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現状の雇用労働は全て調製作業として試算したが、パッケージセンターを利用して規模拡大した場合には、育苗や定植作業等に雇用が必要な場合がある。
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[具体的データ]
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表1 パッケージセンター利用による個別農家の収支、作付け面積の変化
図1 パッケージセンター利用による労働時間の変化
図2 農協共販における直販の推移とパッケジセンターの役割(A農協)
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[その他]
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研究課題名:広域流通産地における販売方法に対応した生産・集出荷・流通方策
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年
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