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食品産業における野菜・くだものの一次加工品利用に関する意識


[要約]
熊本県内の食品産業が野菜・くだものの一次加工品利用に求める条件は、外食、中食、パン・菓子製造業で異なる。県産物へのこだわりは中食で顕著に認められ、「直接取引」や「安全・高品質」へのニーズが強い。

[キーワード]
食品産業、一次加工品、直接取引、安全・高品質

[担当]
熊本県食品加工研究所・企画指導課

[代表連絡先]電話096-368-3600	
[区分]九州沖縄農業・流通加工	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
食品産業との連携による農産物の新たな需要拡大は今後の農業施策としても重要な課題である。県内食品産業(外食、中食、パン・菓子製造業)を対象に県産主力品目である野菜・くだものの一次加工品利用に求める意向や現状を明らかにし、実需者ニーズに対応した業務用素材開発の資料とする。

[成果の内容・特徴]
  1. 使用される野菜・くだもの全体の中で一次加工品が占める割合は、外食では3割以上の利用が9%にとどまっているのに対し、中食やパン・菓子製造業では、3割以上の利用事業所が約35%と高い(データ略)。

  2. 使用頻度の高い一次加工品の状態は、冷凍品が共通して多く、その他は外食では缶詰、水煮、乾燥物、中食では水煮、カット、皮むきが、また、パン・菓子製造業では缶詰が主である(図1)。これらの結果は仕入先にも反映されており、中食で加工業者からの直接仕入れが多い他は、食品卸売り業者からの入手が最多となっている(データ略)。

  3. 野菜・くだものの一次加工品に対しては、業種全体を通して「食品添加物が少ないもの」、「すぐれた風味・食感」、「安全性の高い素材で加工されたもの」に対するニーズが強く、また、産地や食材についての情報ニーズも強い。一方、中食では「国産品の割高感に対する許容度」が他の業種に対して特に低く、外食では「産地や加工業者との直接取引」への要望が低い(表1)。

  4. 野菜・くだものの一次加工品に対する潜在ニーズを因子分析により分析すると、「直接取引」「地場産訴求」「安全・高品質」の3因子が抽出される(表2)。業種毎の違いをみると、明らかに中食で「直接取引」や「安全・高品質」に係る要因が重要視されている(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 県内産地において、農産物や一次加工品を業務用として製品開発する場合の基礎資料として活用できる。

  2. 熊本県内の食品産業としては、外食が最も多く全体の3/4、ついで中食が1/6を占める。分析対象企業は、熊本県内の実需者143社(外食55社、中食20社、製造68社)で、全体の構成を反映したものではない。

[具体的データ]

図1 よく使う一次加工品の加工状態


表1 一次加工品ニーズに対する評価結果


表2 一次加工品ニーズに対する因子分析結果


図2 一次加工品に対する業種別潜在ニーズのプロット図

[その他]
研究課題名:県産農産物の業務用素材の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2004年度


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