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SSRマーカーを用いた福岡県の水稲品種の識別技術


[要約]
福岡県の奨励品種を中心とした12品種を8種類のSSRマーカーで識別できる。SSRマーカーを用いた品種識別法は、バルク分析で5〜10%の混入を検出可能であり、粒別分析とDNA簡易抽出法を組み合わせることにより、システム化が可能となる。
[キーワード]
水稲、品種識別、SSRマーカー

[担当]
福岡県農業総合試験場・農産部・水稲育種チーム、企画情報部・知的財産管理課

[代表連絡先]電話092-924-2937	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
福岡県で育成されたオリジナル品種である「夢つくし」「つくしろまん」などの知的財産権と育成者権保護ならびに品種の偽装防止を目的に、SSR(SimpleSequenceRepeat)マーカーを用いた品種判別技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 福岡県の奨励品種を中心とした12品種は、8種類のSSRマーカーで相互に識別可能である(表1)。

  2. SSRマーカーは、白米数十粒をまとめて粉砕するバルク分析が可能で、白米およびDNA溶液において、5〜10%程度の混合を検出できる(図1)。

  3. 1粒ずつの粒別分析において、96穴ディープウェルプレートを用いた少量多検体分析でも、95%以上の成功率でDNAを抽出可能である(図2)。

  4. SSRマーカーを用いた品種判別システムにおいては、10%以上混入した異品種を検出する場合、一次判定として29粒以上をバルク分析し、混入が認められた試料を二次判定として80粒以上を粒別分析する。また、20%以上混入した異品種を検出する場合は、一次判定で14粒、二次判定で20粒を分析する(危険率5%とした二項分布からの推定、図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 使用したSSRマーカーは穀物の総合遺伝情報サイトであるGramene(http://www.gramene.org/microsat/index.html)にて配列などの情報が公開してある。

  2. 白米の粉砕においては、微粉砕が可能な専用の破砕装置(マルチビーズショッカー)を使用した。

  3. 1日あたりの分析点数の目安は,バルク分析で約50サンプル,粒別分析で約16サンプルである(粒別分析では1サンプルから20粒分析するとした場合).

  4. DNA抽出法は以下の文献を参照.

    PotasiumAcetate法:Dellaporta,S.L.., J. Wood and J. B. Hicks (1983) A plant DNA minipreparation: version II. Plant Mol. Biol. Rep. 1: 19-21.

    TPS法:Thomson, D., and R., Henry (1995) Single-step protocol for preparation of plant tissue for analys is by PCR. BioTechniques 19 (3) : 394-400.

[具体的データ]

表1 水稲12品種を識別できるSSRマーカーと遺伝子型


図1 バルク分析における電気泳動図(RM4595を使用、左:米粒、右:DNA溶液)


図2 SSRマーカ-RM8030による実際の品種識別結果


図3 DNA品種判定作業フロー図

[その他]
研究課題名:SSRマーカーによる米の品種識別
予算区分 :県特(農産物知的財産戦略)
研究期間 :2003〜2005年度


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