「ヒノヒカリ」の登熟期高温による品質低下とその対策
- [要約]
- 水稲品種「ヒノヒカリ」は、登熟温度が26〜27
以上の高温になると、収量は低下し、心白や乳白米、基部未熟粒が増え検査等級は低下する。6月下旬に遅植えすることで、収量や食味の低下はなく、検査等級は向上する。6月中旬に移植する場合には、穂肥に緩効性肥料を施用することで、収量低下や玄米タンパク質含有率の増加はなく検査等級はやや向上する。
- [キーワード]
- 水稲、ヒノヒカリ、検査等級、登熟温度、緩効性肥料
- [担当]
- 福岡農総試・農産部・栽培品質チーム
[代表連絡先]電話092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
近年、登熟期間中の高温による心白、乳白米の発生や充実不足による外観品質の低下が大きな問題となっている。そこで、主力品種「ヒノヒカリ」について、登熟期の高温による収量や品質への影響を明らかにし、移植時期や施肥法の改善による外観品質向上対策を検討する。
-
[成果の内容・特徴]
-
- 「ヒノヒカリ」は登熟温度(出穂後20日間の平均気温)が26〜27
以上の高温になると、収量は低下し、心白や乳白米、基部未熟粒が増え、整粒歩合および検査等級は低下する。玄米タンパク質含有率は増加する。(表1、図1)。
-
「ヒノヒカリ」を6月24日頃に遅植えすると、乳白や背白粒が減少して検査等級が向上する。遅植えによる収量、食味の低下はない。遅植えでは幼穂形成期から穂揃期の稲体窒素含有率が高く維持される。(表2、図1)。
-
「ヒノヒカリ」の6月中旬移植において、穂肥を施肥しない場合は、収量、検査等級ともに低下する。穂肥を2回施用すると、収量、検査等級は向上するが、玄米タンパク質含有率が高まる。短期溶出型窒素(LP30)を50%含む緩効性肥料を穂肥として1回施用すると、収量、検査等級ともに高く、玄米タンパク質含有率は増加しない(表3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
水稲の収量維持、外観品質向上対策として活用できる。
-
一般平坦地および平坦肥沃地に適用できる。
-
[具体的データ]
-

表1 登熟期間に高温処理を行った場合の収量、品質

図1 登熟温度と検査等級

表2 移植期が異なる場合の生育、収量、品質

表3 施肥や稲体窒素と外観品質
-
[その他]
-
研究課題名:高温条件下における品質評価技術の確立
予算区分 :経常
研究期間 :2006年度(2001〜2006年)
目次へ戻る