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畦立同時播種法による大豆出芽安定化を可能にする簡易畦立機


[要約]
トラクタのロータリ整地板に取り付け、ロータリ両端に市販の培土板を装着することにより、畦立同時播種を良好に行うことが可能で、排水効果が高く、大豆の出芽安定に寄与できる簡易畦立機を開発した。

[キーワード]
ダイズ、簡易畦立機、播種、畦立、出芽、排水、湿害回避

[担当]
大分農研セ・水田農業研・水田農業担当

[代表連絡先]電話0978-37-1160	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
大豆の7月上中旬の播種は、収量・品質面から適期とされているが、梅雨時期の降雨が播種作業の支障となっている。このため天候に左右されない播種法として、浅耕一工程播種技術を確立し、播種可能日数の拡大を図ってきたが、さらに湿害を回避し、出芽苗立を安定させるための技術改善が必要である。そこで、浅耕一工程播種技術の改良により出芽、生育の安定する畦立同時播種法を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 開発した簡易畦立機は、トラクタの正転ロータリの整地板に上下から挟み込み、市販の培土板をロータリ両端に装着することにより、耕耘爪の交換を必要とせずに1条毎に畦立同時播種を行うことができる(写真1左)。

  2. 簡易畦立機は長さ約1mのCチャンネル綱(高さ100mm×幅50mm×厚み5mm)で作製しており、ロータリへの取付も簡便である(写真1右)。

  3. 麦畦を利用した一工程作業において良好に畦立をすることが可能である(図1)。

  4. 降雨後の土壌水分の推移は畦立を行うと平畦と比較した場合、排水効果により、土壌水分を低く推移させることができる(図2)。

  5. 播種直後の豪雨を想定した130mm相当の散水で平畦に比べ出芽日数が短縮し(2005年)、播種時の土壌水分が高い場合や乾燥時においても、平畦に比べ出芽率が高く(2006年)、出芽が安定する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 水田転換畑の大豆栽培で活用できる。

  2. 事前に耕起した圃場においても同様に播種作業が可能である。

  3. 簡易畦立機を二つ用いることにより、3条播種にも対応できる。

  4. 簡易畦立機を取り付けると、播種時に整地板が浮き上がりやすくなるので、やや強く押さえるように調整する。

  5. 整地板に突起物があるなどロータリの形状によっては、簡易畦立機を取り付けができない場合がある。

  6. 簡易畦立機は、鉄工所等に依頼すると1基1万円程度で作製できる。

[具体的データ]

写真1 簡易畦立機(右)を利用した畦立同時播種機作業(左)


図1 畦立同時播種における播種時の畦形状(2005)


図2 播種法の違いと播種部土壌水分の関係(2006)


表1 播種法の違いと出芽率

[その他]
研究課題名:目指せブランド大分!大豆の高収量高品質生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度


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