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小麦「チクゴイズミ」の早播栽培における出穂期の葉色と施肥判断


[要約]
11月中旬播種の「チクゴイズミ」の早播栽培において、2月下旬の追肥を行った場合、出穂期直前の止葉の葉緑素計値は39〜41となり、出穂後10日目に窒素成分で10a当たり1〜2kg施用することで、10〜11%の目標子実タンパク質含有率が確保される。

[キーワード]
早播栽培、出穂期、葉緑素計値、タンパク質含有率

[担当]
熊本農研セ・農産園芸研究所・作物研究室

[代表連絡先]096-248-6445	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
熊本県の小麦「チクゴイズミ」は、標準播種(11月下旬)より早い11月中旬に播種すると、成熟期が早まり梅雨前の5月内に収穫できるが、早播により子実タンパク質含有率が低下する傾向がある。この対策として、穂ばらみ期あるいは出穂後10日目の追肥が一般に普及しつつある。本研究では、タンパク質向上に有効な出穂前後の追肥技術に加え、出穂期の葉色に応じた施肥方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
11月中旬に「チクゴイズミ」を早播した場合、

  1. 2月下旬の追肥を窒素成分で10a当たり2kg施用することで、収量が確保される(図1)。また、この場合、出穂期直前の葉緑素計値は39〜41となり、出穂後10日目に窒素成分で10a当たり1〜2kg施用することで、子実タンパク質含有率を適正値の10〜11%とすることができる(図2)。

  2. 出穂直前の葉色が42以上の場合は、出穂後の追肥の必要はない(図3)。

  3. 葉緑素計値での葉色判定は止葉で判定できる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本技術の水稲後小麦「チクゴイズミ」の施肥体系は、10a当たり窒素成分で基肥5kg-分げつ肥1月下旬2kgの施用した場合に適用する。

  2. 本試験は黒ボク土壌において11月中旬播種の播種量5kg/10aの条件で行った。

  3. 葉色の葉緑素計での計測は、25個体とする。

[具体的データ]

図1 2月下旬の追肥が収量に及ぼす影響


図2 止葉の葉緑素計値とタンパク質含有率(H16,17,18)


図3 出穂直前の止葉の葉緑素計値と子実タンパク質含有率


図4 出穂期直前の止葉と第2葉の葉緑素計値

[その他]
研究課題名:秋播性早生小麦品種を用いた早進化技術の開発
予算区分 :国庫委託
研究期間 :2003〜2005年度


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