水稲品種「にこまる」の「ヒノヒカリ」と比較した育苗時の生育特性
- [要約]
- 「にこまる」は「ヒノヒカリ」に比べ、発芽勢および出芽勢が高く、苗も伸びやすいが、「ヒノヒカリ」より早く硬化することで移植苗を充実させる。
- [キーワード]
- イネ、にこまる、育苗
- [担当]
- 長崎総農林試・作物園芸部・作物科
[代表連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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長崎県において、「にこまる」は「ヒノヒカリ」との作期分散や、温暖化による玄米品質の低下が少ない品種として普及が進んでいる。しかし、育苗時の苗の徒長が栽培上の問題の一つとなっている。そこで一般的な20日間程度の育苗期間について「にこまる」の生育特性を明らかにし、健苗育苗のための基礎資料とする。
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[成果の内容・特徴]
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「にこまる」は播種直前の発芽勢および育苗時の出芽勢が高い(図1、図2)。「にこまる」の苗は同一条件で育苗した「ヒノヒカリ」に比べ伸長し、第一葉鞘長、第二葉長が長く、苗の充実度も低い(表1)。
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「にこまる」は出芽・緑化のための被覆・加温期間が長くなるほど硬化開始時の苗の伸長程度は「ヒノヒカリ」より大きくなり、移植前の苗はさらに伸長する。「にこまる」の段積加温の硬化開始時5日(播種後)は、明らかに苗質が劣るため、この育苗法(日数)は適さない(表1)。
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「にこまる」は、「ヒノヒカリ」より早い時期に硬化を開始することで、移植時期の苗長を短くすることができる(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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伸長した苗でも根張りは同等で苗崩れしないが、草丈が20cm程度の苗は第一葉鞘長が長く軟弱なため茎折するなどして植え付け精度が劣る。
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「ヒノヒカリ」との比較特性であるので、今後他の品種との比較検討が必要である。
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[具体的データ]
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図1 発芽率の比較(2006年)

図2 出芽率の比較(2006年)

表1 育苗法および硬化時期と苗の生育(2006年)
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[その他]
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研究課題名:稲・麦・大豆奨励品種決定調査
予算区分 :県単 研究期間:2006年度
研究期間 :2006年度
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