水稲中生品種の高温条件下での白未熟粒の発生抑制
- [要約]
- 「ヒノヒカリ」は移植時期を遅らせることで白未熟粒の発生が減少する。また、6月上中旬移植では、基肥、穂肥及び晩期穂肥(出穂約10日前)の施肥体系で、かつ、登熟期の水管理は落水時期を出穂後35日以降まで延長することで白未熟粒の発生が少なくなる。
- [キーワード]
- イネ、水稲中生品種、高温、移植時期、晩期穂肥、落水時期
- [担当]
- 熊本県農研セ・農産園芸研究所・作物研究室
[代表連絡先]電話096-248-6444
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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熊本県下の水稲作付け面積の約65%を占めている主力品種「ヒノヒカリ」を中心とした普通期中生種は、近年の高温年次において、乳白粒等の白未熟粒の発生で品質低下が著しく、過去3カ年の1等米比率の平均が約27%と低い水準にある。そこで、中生良食味品種の白未熟粒の発生様相の把握と白未熟粒の発生を抑制する技術を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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水稲中生品種「にこまる」、及び「熊本A49号」は、「ヒノヒカリ」に比べ白未熟粒の発生が少なく、高温耐性が高い(図1)。
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「ヒノヒカリ」は、6月上中旬の早植えより6月下旬の遅植で白未熟粒の発生が減少し、検査等級が向上する(図1)。
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6月上中旬移植の「ヒノヒカリ」において、a当たり窒素施肥量で基肥0.5kg・穂肥0.3kg(出穂約20日前)の施肥体系で晩期穂肥(出穂約10日前)0.2kgを加用すると白未熟粒の発生が抑えられる(図2)。
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落水の時期を出穂後35日以降まで延長すると白未熟粒の発生が少なくなる(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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本試験は黒ボク土壌において中苗移植で行った。
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熊本県中生品種の品質向上のための栽培指導資料とする。
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[具体的データ]
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図1 移植時期別中生品種の白未熟粒発生率の比較(2005年、2006年)

図2 6月上中旬移植ヒノヒカリにおける晩期穂肥の有無と白未粒の発生

表1 登熟期の落水時期が玄米品質に及ぼす影響(2006年、温室内試験、供試品種ヒノヒカリ)
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[その他]
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研究課題名:水稲中生品種の高温条件下での高品質安定栽培技術
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度
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