焼酎原料用カンショ「コガネセンガン」の早掘栽培における多収技術
- [要約]
- 焼酎原料用カンショ「コガネセンガン」の早掘栽培は疎植にした方が上いも収量が増える。また、ウイルスフリー化した「コガネセンガン」は早期肥大性が強く、早掘栽培に適する。
- [キーワード]
- サツマイモ、コガネセンガン、ウイルスフリー、焼酎、栽培
- [担当]
- 宮崎県総合農業試験場畑作園芸支場
[代表連絡先]電話0986-22-1743
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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近年の焼酎ブームにより芋焼酎の需要が増え、酒造会社は醸造期間を拡大して焼酎を増産することが必要になった。カンショは低温に弱く貯蔵が難しいため、収穫時期を早めて原料を確保しなければならないが、早掘栽培では収量が少ないため多収化技術が求められている。そこでコガネセンガンの早掘栽培における、最適な栽植密度とウイルスフリーの効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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「コガネセンガン」を早掘する場合、疎植にすると標準よりも個々のいもの肥大が早く、100g以上の出荷規格内の割合が増えて上いも収量が多い。また、疎植であれば準備する苗の本数及び植付労力も少なくなる。逆に密植にすると、個々のいもの肥大が遅く屑いもの割合が増え、密植の有利性はみられない。(表1)
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栽植密度によるでん粉歩留の差はないので、でん粉収量(上いも収量×でん粉歩留)も疎植で多い。(表1)
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ウイルスフリー化した「コガネセンガン」は早期肥大性が強く、収穫時期が早いほど非ウイルスフリーに比べ上いも1個重が重く、株あたりの上いも個数も多く、多収である。(図1)
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でん粉歩留は非ウイルスフリーに比べやや低いが、でん粉収量は明らかに多い。でん粉歩留は生育日数が長くなるほど高くなる。(図2)
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[成果の活用面・留意点]
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ウイルスフリー苗の系統は「No.6」であり、非ウイルスフリー苗の系統は畑作支場が保有している系統であるため、収量の差にはウイルスフリー効果だけでなく、系統間差も含まれる。ウイルスフリー区はオープン栽培初年目のデータである。
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県の栽培基準に新たに早掘り栽培の項目を設け、栽植密度を畦間100cm×株間40cmを加える。
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[具体的データ]
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表1 栽植密度が収量およびでん粉歩留まりに及ぼす影響(2004〜2005年度)

図1 収量に及ぼすウイルスフリーの効果

図2 でん粉収量に及ぼすウイルスフリーの効果
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[その他]
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研究課題名:焼酎・加工用カンショの低コスト栽培による出荷時期拡大と高品質化
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度
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