焼酎原料用カンショ新品種候補系統「九州135号」の栽培技術
- [要約]
- 「九州135号」は「コガネセンガン」に比べ焼酎のコクに関する脂肪酸を多く含み、芋焼酎に特有な香気成分を多く含む。いもの収量はやや低いが、でん粉歩留まりが高い。また、生育期間を長くおくことで上いも収量が増加する。
- [キーワード]
- カンショ、焼酎、醸造
- [担当]
- 宮崎県総合農業試験場畑作園芸支場、宮崎県食品開発センター
[代表連絡先]電話0986-22-1743
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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県内で栽培される焼酎原料用カンショの品種は9割以上が「コガネセンガン」であるが、近年、焼酎業界での競争が激化していることから、酒造メーカーからはオリジナルな焼酎を醸造できる品種を求める声が強くなっている。そこで、コガネセンガンとは異なる醸造適性の優れた新品種候補の栽培技術を確立し、速やかに現地に普及する。
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[成果の内容・特徴]
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焼酎のコクに関係する生いも中の脂肪酸のうち、ラウリン酸及びリノール酸の含量が「コガネセンガン」より多い。焼酎には芋焼酎に特有な香気成分が多く含まれる(表1)。
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コガネセンガンよりも生育が旺盛で屑いもが多く、上いも1個重も軽い。上いも収量は2割低いが、でん粉歩留まりが約1割高く、でん粉収量は約1割低い(表2)。
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標準の栽植密度(333株/a)で、生育期間を延長することにより収量が増加し、500g以上の大きいいもの発生も少ない。(表3、表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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九州沖縄農業研究センターで育成された系統で、平成19年度に種苗登録手続き予定である。
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蒸しいもの甘みは弱いため、青果用には不向きである。
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県内(北郷町)酒造会社で「九州135号」を用いた新製品の開発中である。
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[具体的データ]
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表1 生いも中の脂肪酸及び焼酎のモノテルペンアルコール含量(2003年度)

表2 収量及び品質(2004〜2006年平均)

表3 株間と生育日数の違いが収量及び品質に及ぼす影響(2006年度)

表4 株間と生育日数が重量別収量に及ぼす影響(2006年度)
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[その他]
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研究課題名:焼酎・加工用カンショの低コスト栽培による出荷時期拡大と高品質化
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度
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