早期高糖で株出しが優れる大東島向けサトウキビ新品種候補系統「RK95-1」
- [要約]
- サトウキビ「RK95-1」は茎数が多く株出し多収である。早期から糖度が高く早期収穫にも適している。本系統を株出し栽培の多い南北大東島地域に早期収穫用で普及することにより、同地域のサトウキビ生産の向上と安定化が期待できる。
- [キーワード]
- サトウキビ、株出し多収、早期収穫、南北大東島
- [担当]
- 沖縄県農業研究センター・作物班
[代表連絡先]電話098-840-8505
[区分]九州沖縄農業・畑作、作物
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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沖縄県南大東島は株出し栽培が多い地域である。過去5年間の株出しの平均単収は、3934kg/10aであり県平均より少ない。農家1戸当たりの栽培面積は大きく、ほとんどの場合、大型農業機械で収穫が行われている。収穫期(1月〜3月)は降雨が多く、機械が稼働出来ずに収穫や株出し管理の遅れのため、株出し収量が低くなりやすい。主用品種の「F161」は、台風による茎の折損や枯死茎が多く、島内では少収になる圃場も多い。また登熟が遅いため早期の収穫には適さない。このため台風等の気象災害に強く、早い時期から収穫が可能で株出し収量の多い品種を求める声が強い。そこで、同地域のサトウキビ生産の向上と安定化を図るため、早期高糖性で収穫早期化に対応できる株出し多収品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「RK95-1」は、早期高糖性で茎伸長に優れ、株出し収量の多い「RK85-55」を種子親に、耐倒伏性を具え、脱葉性の良い「RF79-247」を花粉親に用いて1994年に交配を行い、1995年に実生選抜を実施して以降、早期高糖性、耐倒伏性、安定多収を重視して、選抜した系統である。
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原料茎数が多く、原料茎重は「F161」に比べて春植えでは同等、株出しでは安定して重い。甘蔗糖度が高いため、両作型とも可製糖量は安定して多い(表1)。
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台風時の茎折損は「F161」より少ない(表1)。
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早期から甘蔗糖度が高く、12月収穫後の株出しの12月の甘蔗糖度は基準以上であり、可製糖量が多く早期収穫にも適する(表2)。
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夏植えでは10月から甘蔗糖度が基準以上であり、可製糖量が多く、秋収穫(10月、11月)も可能である(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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沖縄県が南北大東島地域を対象に奨励品種として採用予定である。株出し栽培の多い南北大東島地域において「F161」の代替として普及(南大東島300ha、北大東島75ha)予定である。早期収穫用としての利用を見込んでいる。
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黒穂病に弱いので、黒穂病が多発生する圃場での栽培は控えると同時に、栽培に際しては健全種苗の利用、苗の消毒、発病株の抜き取り等の管理が必要である。
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12月収穫もしくは秋収穫(10月、11月収穫)における新植の糖度、収量の確保には夏植えを基本とする。
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[具体的データ]
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表1 「RK95-1」の特性概要

図1 「RK95-1」の原料茎

表2 「RK95-1」の新植および株出しの早期収穫における収穫調査結果
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[その他]
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研究課題名:サトウキビ新品種育成試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :1994年〜2006年度
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