そば有望系統「北陸3号」は阿蘇地域の夏期栽培に適する
- [要約]
- そば「北陸3号」は阿蘇地域で5月下旬に播種すると梅雨明けの7月下旬に成熟期に達し、夏の新蕎麦出荷が可能である。収量は安定しており、蕎麦の外観と香り、食味は優れる。
- [キーワード]
- 夏そば、高品質、良食味
- [担当]
- 熊本県農業研究センター高原農業研究所
[代表連絡先]電話0967-22-1212
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 熊本県の阿蘇地域では、在来種が約300ha作付されており、観光資源を活用した地産地消で消費されている。しかし、在来種を秋期に栽培しているので、需要の高まる夏場には前年産の品質が低下した蕎麦を使用している。また、近年は秋期栽培での不良気象による被害が生じている。そこで、需要が高まる夏場に新蕎麦として提供でき、阿蘇地域の夏期栽培用として収量が安定した良食味の夏そば型品種を選定する。
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[成果の内容・特徴]
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そば「北陸3号」は阿蘇地域で5月下旬に播種すると、梅雨明け後の7月下旬に成熟期に達し、夏の新蕎麦出荷が可能である。(表2)。
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収量は安定しており、品質は検査等級「3等」程度である(表1)。
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食味は前年秋期産阿蘇在来と比較すると、外観、香り、味、総合評価で優れている
(表4)。
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栽培は条播(条間50cm)で培土を行うが、雑草が少ない圃場では、条播(条間30cm)・培土無し、あるいは散播・培土無しでも栽培が可能であり、収量性に差はない(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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需要の高い夏場に新そばを提供できる。
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夏期と秋期に作期を分散させることで台風等の気象災害を回避できるので、安定生産が図られる。
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刈り遅れると脱粒が生じて減収し、品質が低下するので、黒化率80%を目安に収穫する。
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排水の悪いほ場、鳥害の発生するほ場では、それぞれの対策に努める。
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そばは虫媒によって他品種と交雑するので、こぼれ種子対策や計画的な種子更新を図り、品種特性の維持に努める。
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[具体的データ]

表1 「北陸3号」の生育、収量性
表2 播種時期の違いが「北陸3号」の生育、収量、品質に及ぼす影響

表3 播種様式、培土の違いが「北陸3号」の生育、収量、品質に及ぼす影響

表4 食味官能試験
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[その他]
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研究課題名:ソバ生産拡大技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2006年度
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