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飼料イネ裏作に飼料麦を活用した高収量作付体系の実証


[要約]
大麦・イタリアンライグラス混播は、イタリアンライグラス単播と比較して乾物収量が高く、乳牛による嗜好性に優れている。エンバク単播は1回刈りで高収量なため省力的である。いずれも飼料イネの裏作として栽培するのに適している。

[キーワード]
大麦、エンバク、イタリアンライグラス、混播

[担当]
福岡農総試・畜産環境部・飼料チーム

[代表連絡先]電話092-925-5177	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
近年、飼料イネの栽培面積が増加しているが、裏作としてはイタリアンライグラスや飼料麦がある。九州地域に適する飼料イネは、晩生品種が多いため、飼料イネの裏作は播種時期が遅くなりやすく収量や品質が低下しやすいなどの問題がある。これまでに、飼料畑で11月や12月に播種する場合の飼料麦はイタリアンライグラスに比べ、低温時の生育が良好であり、収量が高くなることを明らかにした(研究成果情報第21号)。このことに加えて、飼料イネの裏作としての栽培期間を考慮すると、収量性の高い大麦・イタリアンライグラス混播及びエンバク単播が適していると考えられる。そこで、飼料イネの裏作として飼料麦を栽培して、収量性及び乳牛によるサイレージの嗜好性を明らかにし、飼料麦が飼料イネの裏作として適していることを実証する。

[成果の内容・特徴]
  1. 大麦・イタリアンライグラス混播及びエンバク単播ともに乾物収量が高く、栽培期間は11月上中旬に播種して、5月上旬〜下旬までに収穫を終えることが可能であるため、飼料イネの裏作として適している(図1表1)。

  2. 大麦・イタリアンライグラス混播の乾物収量は、同時期に栽培したイタリアンライグラス単播の105〜130%と高く、サイレージの発酵品質は良好で、乳牛の嗜好性も優れるため、飼料イネの裏作として最も適している(表1表2表3)。

  3. エンバク単播は、1回刈りでもイタリアンライグラス単播の2回刈りと同等以上の収量が得られ省力的であるとともに、栽培期間は5月上中旬で終了するため、後作の田植えまでに日程的な余裕がある。しかし、サイレージ発酵品質が良好にもかかわらず、乳牛の嗜好性がやや劣り、倒伏しやすい欠点もある(図1表1表2表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 飼料イネ以外にも水稲全般の裏作水田で飼料作物栽培を行う際に活用できる。

  2. 後作の水稲作を5月中旬以前に移植又は直播する場合には大麦単播又は大麦・イタリアンライグラス混播の1回刈りとし、水稲作を5月下旬の早植えや直播する場合にはエンバク単播とする。

[具体的データ]

図1 飼料イネと組み合わせる作付け体系


表1 現地実証栽培における乾物収量(kg/10a)


表2 サイレージの概要


表3 搾乳牛による嗜好性(DMkg/日・頭)

[その他]
研究課題名:水田における飼料麦の安定栽培技術の確立
予算区分 :受託(ブラニチ3系)
研究期間 :2003〜2005年度


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