Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成18年度目次

南西諸島向け採草用牧草ギニアグラス新品種「パイカジ」


[要約]
ギニアグラス新品種「パイカジ」は、南西諸島で最も普及している「ガットン」より収量および消化率が向上しており、収量は多収品種「ナツユタカ」並で永続性がある。南西諸島の永年草地での採草利用に適している。

[キーワード]
ギニアグラス、パイカジ、採草、南西諸島、永年利用、収量、消化率

[担当]
沖縄県畜研セ・育種改良班(牧草育種指定試験)

[代表連絡先]電話0980-56-5142	
[区分]畜産草地、九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
南西諸島では暖地型牧草の高い収量性に依存した集約的な和牛の繁殖経営が定着している。ギニアグラスはラップサイレージなどで採草利用され永年栽培されている。南西諸島の利用に適した流通品種は「ナツユタカ」および「ガットン」の2品種のみとなっている。しかし、「ナツユタカ」は亜熱帯気象下で永続性と収量性に優れるが、消化率が劣るため十分な普及に至っていない。収量が劣る「ガットン」が、比較的消化率が安定しているため普及している。そのため、「ナツユタカ」並の収量を示し、「ガットン」に優る消化率をもつ新品種の利用価値は高い。

[成果の内容・特徴]
  1. 利用3年目の年間乾物収量は「ガットン」対比134(実収量518kg/a)となり、「ナツユタカ」並の多収で(表1)、永続性に優れている(写真1写真2)。

  2. 利用3年間の合計乾物収量は「ガットン」対比136(実収量1338kg/a)となり、「ナツユタカ」並の多収である(表1)。

  3. 出穂始期は「ガットン」に比べ8日遅く中生である(表1)。

  4. 茎数が「ガットン」および「ナツユタカ」に比べ多く、多茎である(表1)。

  5. 生殖様式はアポミクシス(81.4%)である(表1)。

  6. 地際部短径は「ナツユタカ」より細く、「ガットン」並で、扁平である(表1)。

  7. 乾物消化率は「ガットン」および「ナツユタカ」より高く、56.0%である(表2)。

  8. 粗タンパク質含有量は「ガットン」および「ナツユタカ」より高く、11.3%である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 南西諸島全域の草地で、永年採草利用に適する。青刈給与・乾草及びラップサイレージ生産が可能である。普及見込み面積は1,000ヘクタールである。

  2. 播種後最初の刈り取りでやや倒伏しやすい傾向があるので、播種後70〜80日または草丈1m前後での早めの刈り取りが望ましい。

[具体的データ]

表1 「パイカジ」の生育特性(沖縄畜産研究センター)


表2 「パイカジ」の品質特性(沖縄畜産研究センター)


写真1 「パイカジ」の個体植の草姿


写真2 「パイカジ」利用2年目の草姿

[その他]
研究課題名:ギニアグラスの新品種の育成(1)南西諸島向け永年利用品種の育成
予算区分 :指定試験
研究期間 :平成10〜17年


目次へ戻る