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飼料への酵素添加は離乳子牛の飼料摂取量・日増体量を増加させる


[要約]
スターターへのペクチナーゼ・キシラナーゼ複合酵素添加は、離乳子牛の乾草摂取量を増加させ、人工乳摂取量の増加を早める。また、離乳子牛の第一胃消化能力を向上させ、6〜8週齢の日増体量を高める。

[キーワード]
ペクチナーゼ、キシラナーゼ、離乳子牛、摂取量、日増体量

[担当]
福岡農総試・家畜部・乳牛チーム

[代表連絡先]電話092-925-5231	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
反芻家畜においては、摂取飼料中の繊維成分は主に第一胃内発酵により消化作用を受ける。しかし、娩出直後の子牛の第一胃には微生物は存在せず、第一胃の物理的機能も未発達であるため、飼料の消化機序は単胃動物と同様となる。現在、豚、鶏の単胃動物では、飼料への酵素添加により飼料消化率、飼料要求率の向上、増体量の改善、産卵率の向上が多数報告されている。このことから、子牛の第一胃消化能力が発達するまでの間、飼料への酵素添加は有効であると考えられるが、これらに関する報告は少ない。これまで、当場では哺乳子牛および育成牛の第一胃内容液を用いたin vitro消化試験を行い、酵素添加の有効性を確認した(平成17年度成果情報)。本試験において、離乳子牛における飼料への酵素添加効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. スターターへの酵素添加は、離乳子牛におけるケンタッキーブルーグラス乾草の摂取量を増加させる(図1)。また、人工乳摂取量の増加を早める(図2)。

  2. スターターへの酵素添加により、離乳子牛の第一胃内原虫数は増加し、原虫の増加速度も増す(表1)。

  3. スターターへの酵素添加は、離乳子牛における6〜8週齢の日増体量を向上させる。また、第一胃発達の指標とされる腹囲体高比および腹胸囲比を高める(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 酪農現場における子牛および育成牛への飼料給与に利用できる。

  2. 供試酵素として、豚・鶏を中心に使用されている市販酵素剤(ペクチナーゼ・キシラナーゼ複合酵素、ペクチナーゼ:12,000単位/g、キシラナーゼ:400単位/g、生産菌:Aspergillus usami mut. shiro-usami)を使用。添加する場合、酵素添加量(g)=体重(kg)×0.0375を目安とする。
[具体的データ]

図1 ブルーグラス乾草摂取量の径時的変化 図2 人工乳摂取量の径時的変化
注) 1.

2.

3.

試験方法:ホルスタイン種離乳子牛(♀:生後6〜14週齢)による並行試験。個体毎に繋ぎ飼いとし、給与飼料は人工乳を制限給与(朝:1kg、夕:1kg)、ケンタッキーブルーグラス乾草を飽食とした。
試験区:対照区(n=4)、酵素区(n=6)の2区を設定。酵素区では、1日2回(朝、夕)スターターに酵素(ペクチナーゼ・キシラナーゼ複合)を混合して給与。
酵素添加量(g):6〜10週齢(6週次体重(kg)×1,000g×3.0%)×0.125%10〜14週齢(10週次体重(kg)×1,000g×3.0%)×0.125%


表1 酵素添加が離乳子牛の第一胃内性状に及ぼす影響(2004〜2005年)


表2 酵素添加が離乳子牛の発育に及ぼす影響(2004〜2005年)

[その他]
研究課題名:育成牛における飼料への酵素添加効果
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2005年度


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