育成期TMR給与による乳用種去勢肥育牛の発育性および枝肉成績向上技術
- [要約]
- 育成期にTMR(TDN71%・CP17%)を給与した乳用種去勢肥育牛は、肥育期間中の増体、枝肉成績が優れる。また、育成期および肥育前期に栄養水準を高めたTMR(育成期TDN74%・CP18%、肥育前期TDN77%・CP17%)を給与した乳用種去勢肥育牛は、肥育後期の飼料摂取量および日増体量が低下する。
- [キーワード]
- 乳用種去勢肥育牛、TMR、増体、枝肉成績
- [担当]
- 福岡農総試・家畜部・肉用牛チーム
[代表連絡先]電話092-925-5232
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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乳用種去勢肥育経営の向上安定化を図るためには、乳用種の特徴である高い発育性を最大限に発揮させ、安定的な枝肉重量を確保することによる低コスト生産技術の確立が重要である。育成期における乳用種去勢牛への混合飼料(TMR)給与は、分離給与の場合と比較して育成期間中の飼料摂取量、発育性を向上させることが報告されている。そこで、TMR給与により育成された乳用種去勢牛の肥育期における発育性、枝肉成績および経済性について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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慣行的栄養水準のTMR(TDN71%・CP17%)給与により育成した乳用種去勢肥育牛は、分離給与または栄養水準を高めたTMR(TDN74%・CP18%)給与により育成し、高栄養水準で肥育を継続した場合と比較して、肥育期間中のTDN摂取量および日増体量が多い傾向にあり、出荷体重は優れる(表1)。
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栄養水準を高めたTMR(TDN74%・CP18%)給与により育成し、高栄養水準で肥育を継続した乳用種去勢肥育牛は、肥育前期までの発育性は良好であるが、後期の飼料摂取量および日増体量が減少する(表1)。
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慣行的栄養水準のTMR給与により育成した乳用種去勢肥育牛の枝肉成績は、分離給与により育成した場合と比較して、枝肉重量、歩留、バラ厚および脂肪交雑等級に優れる傾向があり、枝肉単価は高くなる(表2)。
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慣行的栄養水準のTMR給与により育成した乳用種去勢肥育牛は、分離給与または栄養水準を高めたTMR(TDN74%・CP18%)給与により育成し、高栄養水準で肥育を継続した場合と比較して、枝肉販売額が高く、肥育差益は向上する(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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乳用種去勢牛の育成期において混合飼料(TMR)を給与する場合の参考資料として活用できる。
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乳用種去勢牛に対して育成期に栄養水準を高めたTMR(TDN74%・CP18%)を給与する場合、肥育前期および後期の給与飼料栄養水準について別途検討する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 育成期および各肥育期における発育成績

表2 枝肉成績

表3 肥育差益
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[その他]
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研究課題名:乳用種去勢肥育牛早期出荷のための育成・肥育技術
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2005年度
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