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良質な飼料イネサイレージを給与すると黒毛和種子牛は良好な発育を示す


[要約]
TDN含量50%以上の良質な飼料イネサイレージを利用すると、黒毛和種子牛は良好な発育を示す。また、飼料イネサイレージを多給し育成を行う場合は、タンパク水準を高めた濃厚飼料を給与することにより良好な発育が得られる。

[キーワード]
飼料イネサイレージ、黒毛和種、子牛、育成

[担当]
長崎畜試・大家畜科(大家畜)

[代表連絡先]電話0957-68-1135	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
飼料イネサイレージのTDN含量は品種や生育段階等により大きく異なる(40.6〜55.1%)ことが報告されており、TDN含有率が低い飼料イネサイレージを給与すると、子牛の発育低下が考えられる。そこで、品質(TDN含量)の異なる飼料イネサイレージが黒毛和種子牛育成に及ぼす影響を調査し、育成子牛の給与体系を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. TDN50%以上の良質な飼料イネサイレージを不断給餌すると、イタリアンライグラス乾草を不断給餌した場合と同等の良好な発育を示す(表1、表2)。

  2. 飼料イネサイレージを多給し育成を行う場合、TDN50%以上の良質な飼料イネサイレージを不断給餌し、タンパク水準を高めた濃厚飼料をTDN摂取過剰とならないように1割程度少なく給与するとイタリアンライグラス乾草区と比較して良好な発育(去勢DG1.05kg、雌DG0.81kg)を示す(表1表2、表3)。

  3. TDN47%程度の品質の劣る飼料イネサイレージを不断給餌すると、基準区、濃厚飼料制限大豆粕添加区とも飼料イネサイレージ摂取量が少なくなり、増体量も小さくなる傾向にある(表1表2表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 飼料イネサイレージを利用した黒毛和種子牛育成の飼養管理体系(給与例)に活用できる(表4)。

  2. 育成期に粗飼料を飼料イネサイレージに切り換える場合は、1ヶ月程度(90〜120日齢)かけて徐々に切り換え、飼料イネサイレージへの十分な馴致が必要である。

  3. 鳥害や移動によるラップフィルム破損および倒伏による登熟不良等により、良好なサイレージ調製が出来ない場合は、子牛への給与を避ける。

  4. 飼料イネは適期(生育時期、天候等)に刈り取りを行う必要がある。

[具体的データ]

表1 供試した飼料イネ成分値


表2 1日当たりの増体量


表3 基準区および濃厚飼料制限大豆添加区の飼料イネサイレージ摂取量の年度比較


表4 黒毛和種子牛への稲発酵飼料給与例

[その他]
研究課題名:飼料イネサイレージの簡易栄養価推定法による育成牛への給与技術の開発
予算区分 :受託(ブラニチ・3系)
研究期間 :2003〜2005年度


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