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家畜ふん堆肥腐熟度判定における発芽インデックス法の実用性


[要約]
家畜ふん堆肥の腐熟度判定として発芽インデックス法は有効である。その判定基準は生育開始5日後の発芽インデックスが150を上まわるものを腐熟が進んでいるとする。また、牛ふん堆肥に対しては、腐熟度判定のための専用機器が不要な簡便法が適用できる。

[キーワード]
発芽インデックス法、家畜ふん堆肥、腐熟度判定、コマツナ発芽試験

[担当]
福岡農総試・畜産環境部・環境衛生チーム

[代表連絡先]電話092-925-5177	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(畜産環境)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
家畜ふん堆肥の腐熟度判定には様々な方法が用いられるが、最近、下水汚泥堆肥や食品汚泥堆肥を対象に、コマツナ発芽試験の発芽数に茎長を指数として加味し、判定精度を高めた発芽インデックス法が考案された(九州大学・金澤)。この方法では、生育開始7日後の発芽インデックスが100以上の堆肥を腐熟が進んでいると判定するが、家畜ふん堆肥の腐熟度判定法として有効であるかは不明である。そこで、従来の腐熟指標と発芽インデックス法を比較検討し、家畜ふん堆肥に対する有効性を明らかにした。さらに、発芽インデックス法は、乾燥器・振とう機・恒温器といった機器を必要とすることから、その利用範囲は限定される。そこで、堆肥の生産現場での利用を容易にするための簡便化を試みる。

[成果の内容・特徴]
  1. 堆肥化初期の未熟な堆肥でもコマツナの発芽率は高い値を示すが、発芽インデックスでは100以下を示し、発芽率より腐熟度が正しく判定できる(表1)。

  2. 堆肥成分を乾燥粉砕物5gを用いて抽出すると、未熟堆肥でも発芽インデックスが高くなるため、抽出液作製には乾物5g相当量の現物堆肥を用いる(データ略)。

  3. 発芽インデックスは生育開始5日後で安定し、7日後の値との相関がr=0.9887と高いことから、腐熟度判定に要する生育期間を2日間短縮できる(図1)。

  4. アンモニア態窒素が高い未熟な堆肥でも発芽インデックスが100を上回ることがあり、家畜ふん堆肥での判定基準は作物への影響を考慮して150とする(図2)。

  5. 水分が10〜60%の牛ふん堆肥においては、簡便法により求めた発芽インデックスは従来法とほぼ同等で実用性が高い(図3)。その簡便法は、現物堆肥に10倍量の熱水を加え、手で30秒間激しく振とうした後の上澄み液を抽出液として、室温でコマツナを5日間生育後、発芽インデックスを求める。

[成果の活用面・留意点]
  1. 室温で生育する時には、直射日光や急激な温度変化を避け、遮光する。室内温度が15を下回ると茎の伸長が遅れ判定精度が低下する。

  2. コマツナ栽培用の抽出液は、乾物5g相当の現物試料に熱水を100mlになるように加えて30分間振とう後30分間静置したものを用い、コマツナの種を30粒まいた発芽試験キットを用いて25の恒温器内に静置する。発芽インデックスは、生育開始5日後の茎長を測定し、以下の式により求める。
    発芽インデックス=(G/Gc)×(L/Lc)×100
    G:試料での発芽数Gc:純水での発芽数L:試料での平均茎長Lc:純水での平均茎長
[具体的データ]

表1 堆肥化過程での発芽インデックスの変化


図1 発芽インデックスの経時変化


図2 発芽インデックスとアンモニア態窒素の関係


図3 生育温度と発芽インデックスの経時変化

[その他]
研究課題名:発芽インデックス法を用いた腐熟度簡易判定技術の確立
予算区分 :経常
研究期間 :2003〜2005年度


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