飼料イネ跡でのエンバク栽培における最適播種量と施肥量
- [要約]
- エンバクの栽培では、播種量を7kg/10aとし、施肥窒素量を15kg/10a程度で基肥50%、追肥50%に分施すると高収量で倒伏は少なく、窒素の利用効率を高くすることができる。
- [キーワード]
- エンバク、播種量、施肥、倒伏
- [担当]
- 福岡農総試・畜産環境部・飼料チーム
[代表連絡先]電話092-925-5177
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
近年、飼料イネの栽培面積が増加しているが、裏作としてはイタリアンライグラスや飼料麦がある。その中で、これまでの成果として、栽培期間が短く、収量性が高いことから、エンバクが適していることを明らかにしてきた。しかし、エンバクは収量性が高い反面、倒伏しやすい欠点がある。そこで、飼料イネの裏作として適しているエンバクの栽培時において、収量を低下させずに、倒伏しにくい播種量及び施肥量を明らかにする。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
エンバクの栽培では播種量を7kg/10aにすると倒伏せずに、穂重、全体収量ともに高くすることができる(表1)。
- 収量に及ぼす影響は基肥窒素に比べ、追肥窒素で大きく、基肥窒素7.5kg/10a又は0kg/10aに追肥窒素7.5kg/10aとすると穂重、全体収量ともに高くなる(表2、表3)。
-
基肥窒素7.5kg/10aに追肥窒素7.5kg/10aとすると、基肥窒素10kg/10aに追肥窒素7.5kg/10aとした場合に比べ、収量は低下せずに倒伏を少なくすることができる(表3)。
- 窒素利用率に及ぼす影響は基肥窒素に比べ、追肥窒素で大きく、施肥窒素量を15kg/10aとし、基肥50%、追肥50%に分施すると高収量で、窒素の利用効率も高くなる(表2、表3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
飼料イネ以外にも水稲全般の裏作水田でエンバク栽培を行う際に活用できる。
-
エンバクは刈り取りが遅れると倒伏しやすいので糊熟期までには刈り取りを行い、堆肥を利用する場合や土壌の肥沃条件によっては施肥量を調整する必要がある。
-
[具体的データ]
-

表1 播種量別の収量(kg/10a)

表2 施肥時期が収量、窒素利用率に及ぼす影響(%)

表3 施肥窒素量別の乾物収量、倒伏割合、窒素利用率
-
[その他]
-
研究課題名:水田における飼料麦の安定栽培技術の確立
予算区分 :受託(ブラニチ3系)
研究期間 :2003〜2005年度
目次へ戻る