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既存の実体顕微鏡を用いた設置コストの安いウシ胚の透明帯切開方法


[要約]
民間採胚現場において既存の実体顕微鏡を用いることで、設置コストが安く、カッティングニードルによる透明帯切開が実施でき、透明帯切開により低ランク胚新鮮移植における受胎率は向上し、実験室内に設置された倒立顕微鏡を用いた場合と遜色ない。

[キーワード]
ウシ、採胚現場、実体顕微鏡、設置コスト、透明帯切開、低ランク胚新鮮移植

[担当]
長崎畜試・大家畜科

[代表連絡先]電話0957-68-1135	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
胚移植において通常低ランク(Cランク)と判定した胚は、耐凍性が低いため新鮮胚移植に利用されているが、受胎率は低い傾向にある。低ランク胚の受胎率を向上させる方法としては、透明帯からの脱出を補助するための透明帯切開が有効な手段であることが報告されている。その方法として倒立顕微鏡のマイクロマニピュレーターに取り付けたカッティングニードルを用いることにより、透明帯切開が容易に行え、新鮮移植における受胎率が向上する。しかし民間の採胚現場においては倒立顕微鏡が設置されている施設は少なく、実体顕微鏡のみを用いている場合が多い。そこで、実用性を考え、民間の採胚現場において既存の実体顕微鏡を活用したカッティングニードルによる透明帯切開方法を検討し、また低ランク胚新鮮移植における受胎率を調査する。

[成果の内容・特徴]
  1. 既存の実体顕微鏡においてマイクロマニピュレーターの取り付けアダプターを用いることで、民間採胚現場においてもカッティングニードルによる透明帯切開が実施できる(図1図2)。

  2. 既存の実体顕微鏡を用いることで、今回用いた必要な器材の経費はマイクロマニピュレーター等の100万円程度である(表1)。

  3. 低ランク胚新鮮移植において実体顕微鏡を用いた透明帯切開区の受胎率は、非切開区に比べ1胚移植及び2胚移植においても向上し、また倒立顕微鏡を用いた場合と遜色はない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. カッティングニードル、ホールディングピペット等の消耗品が必要である。

  2. 実体顕微鏡に取り付けたマイクロマニピュレーターは、マイクロブレードを取り付けることで胚の性判別用サンプルのバイオプシーにも活用できる。

[具体的データ]

図1 今回用いた実体顕微鏡に取り付けたマイクロマニピュレーター


図2 カッティングニードルを用いた透明帯切開


表1 部品名及びコスト(国産N社製参考)


表2 低ランク胚新鮮移植における受胎成績

[その他]
研究課題名:バイオテクノロジーを活用した繁殖技術
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度


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