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高エネルギー飼料は高温下における乾乳後期乳牛の乾物摂取量低下を抑制する


[要約]
高温環境下で分娩する乳牛において、乾乳後期用の飼料中TDN含量を、濃厚飼料の比率を増すことにより66%から69%に高めることで、高温ストレスに伴う分娩前の乾物摂取量の低下を抑制し、妊娠末期のエネルギー要求量を満たすことが出来る。

[キーワード]
エネルギー水準、乾乳後期、乾物摂取量、高温、乳用牛

[担当]
九州沖縄農研・暖地温暖化研究チーム

[代表連絡先]電話096-242-7748	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)、畜産草地	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
乾乳期は胎児の発育や分娩、泌乳の準備のため大変重要な時期であり、厳密な栄養管理が要求される。乾乳期の乾物摂取量の低下は、泌乳量や分娩後の代謝病の発生に影響を及ぼすとされているので、特に乾物摂取量の低下する高温環境下では十分な対策が必要である。そこで、高温環境下で分娩する乳牛の乾物摂取量を高めるために、乾乳後期に粗濃比によって調整した異なるエネルギー水準の飼料を給与し、乾物摂取量とエネルギー充足率について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 高温環境下(平均気温:27.0)に分娩する経産牛の乾乳後期用飼料として、粗濃比を変えることによりTDN含量を66%から69%に高めたTMR(表1)を給与した場合、分娩前の乾物摂取量の低下が抑制され、適温環境下(平均気温:11.3)と同等の乾物摂取量が得られる(図1)。なお、高温環境下における試験期間中の平均最低気温は23.1、平均最高気温は31.6で、平均温湿度指数(THI)は78.0である

  2. 高温環境下において飼料中TDN含量を69%まで高めると、乾物摂取量および単位乾物当たりのエネルギー供給量が増加することにより、妊娠末期のエネルギー要求量を満たすことが出来る(表2)。

  3. 分娩後3週間における平均乳量は、高温環境下で66%のTDNを摂取した乳牛で33.3kg、69%のTDNを摂取した乳牛で35.7kgであり、有意な差は見られない。乳質にも有意な差は見られない。

[成果の活用面・留意点]
  1. 高温環境下で分娩する乳牛の給与設計をする際に参考となる。

  2. 305日乳量および繁殖成績についての検討は行っていない。

[具体的データ]

表1 給与飼料の一般成分(%)


図1 (a)分娩前2週間の乾物摂取量   図1 (b)体重当たりの乾物摂取量


表2 分娩前2週間のエネルギー充足率(%)

[その他]
研究課題名:暖地・温暖地における気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発
課題ID:215-a
予算区分 :基盤
研究期間 :2006〜2010年度


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