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竹材・木質系バイオマスの膨軟化処理による堆肥副資材利用


[要約]
竹材、バーク等の低・未利用バイオマスは、膨軟化処理することで吸水性が向上する。膨軟処理された材料は、堆肥副資材として、コスト面から購入オガクズよりも有利なケースがある。堆肥化通気量はオガクズに比較して多くなるが、比較的良好な分解率となる。

[キーワード]
バイオマス、家畜ふん尿、乳牛、堆肥、副資材、膨軟、通気量、ペレット

[担当]
九州沖縄農研・九州バイオマス利用研究チーム

[代表連絡先]電話096-242-7760	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(畜産環境)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
地球温暖化問題,循環型社会の形成など環境保全への意識の高まりを背景に、バイオマスを総合的に利活用し、持続的また発展可能な社会を形成させることが重要となっている。そこで、畜産集中地帯かつ農林業の盛んな地域を対象に、竹材や樹園地残渣等の林産資源を膨軟化し堆肥副資材として利用する、資源循環システムを開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 間伐竹は膨軟化する前に1次破砕の必要があり、トラクター(25〜60馬力)装着式チッパーの処理能力は約1,400kg/h(含水率31%)、処理コストは2,964円/tである。

  2. 膨軟装置(37kW)の膨軟処理能力は、240kg/h(間伐竹チップ)〜420kg/h(破砕バーク)程度である。製造コストは、街路樹剪定残さと竹工場残さ1,974円/t、間伐竹チップと破砕バーク3,149円/tである(図1)。

  3. 膨軟化した材料の吸水性は、未処理品に比較して材料混合1時間後で約50%、24時間後で約30%向上し、初期吸水能力の改善効果が高い。膨軟化処理により街路樹剪定残さや竹工場残さは、オガクズと同等の吸水性を示す(図2)。

  4. 堆積高さ1.8mの強制通気堆肥化方式における乳牛ふんと膨軟副資材の適正混合重量比(含水率)は、街路樹剪定残さ4:1(73%)、竹工場残さ4:1(73%)、間伐竹3:1(70%)、バーク4.5:1(74%)である。乳牛ふん1tを堆肥化する際の副資材代はオガクズ2,500円(適正混合重量比4:1、購入価格10,000円/t)に対し、材料価格300円/m3で膨軟化処理した街路樹剪定残さ681円、竹工場残さ935円、間伐竹2,350円、バーク1,033円である(図3)。

  5. 堆肥材料の初期体積当たり通気量は、副資材にオガクズを用いた場合に比較して多くなる。堆肥材料の有機物分解率は30〜40%となり、分解性に問題はない(表1)。

  6. 膨軟副資材を用いて製造した牛ふん堆肥(含水率約30%)は、ローラディスクダイ成型機でペレット化できる。小型成型機のペレット化能力は、成型板厚10mmを用いることで膨軟竹牛糞堆肥45kgDM/h、膨軟バーク牛糞堆肥36kgDM/hと、オガクズ牛ふん堆肥(約45kgDM/h)と同等から20%減少する。
[成果の活用面・留意点]
  1. 未利用バイオマスを副資材とした堆肥化システムにおける、施設設計の基礎数値として用いることが出来る。

  2. 平成18年度に、本システムを取り入れた堆肥センター(熊本)が、稼動予定である。

[具体的データ]

図1 膨軟化処理能力とコスト(プレート:丸穴φ12-16)


図2 膨軟処理の吸水性への影響


図3 堆肥化における乳牛ふん1t当たりの副資材代


表1 堆肥化開始時1m3当たりの通気量と有機物分解率

[その他]
研究課題名:暖地における畑作物加工残さ等地域バイオマスのカスケード利用・地域循環システムの開発
課題ID:411-d
予算区分 :バイオリサイクル
研究期間 :2004〜2006年度


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