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宮崎県産黒毛和種肥育牛肉の旨み成分


[要約]
宮崎県産黒毛和種肥育牛のロース及び皮下脂肪には脂肪酸の中で旨みと関連の深いオレイン酸が最も多く含まれ、ロース部で49.2%を占める。また、遊離アミノ酸の旨み成分であるグルタミン酸及びアスパラギン酸がそれぞれ、20.4mg/100g、11.7mg/100g含まれており高い傾向にある。

[キーワード]
肉用牛、牛肉、旨み、脂肪酸、アミノ酸

[担当]
宮崎畜試・飼養部・肉用牛科

[代表連絡先]電話0984-42-1122	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
本県は、「宮崎牛」に代表される肥育牛の生産県であるが、最近は市場のニーズとして枝肉の格付け成績のみならず牛肉そのものの、旨みや風味を求める傾向にある。このため、これまで、把握されていなかった県内の肥育牛の旨み成分について調査し変動要因を解析することにより、より「おいしい」宮崎県産牛生産のための技術指標とするため、宮崎県産黒毛和種肥育牛11地区の55頭(去勢45頭、雌10頭BMSNO.平均4.7(2〜8))について、ロース部の一般成分、脂肪酸量、皮下脂肪融点、遊離アミノ酸含有量及びビタミンE含有量について調査する。

[成果の内容・特徴]
  1. ロース部の一般成分では、粗脂肪含有率が38.5%であり、一般的な食品成分表の国産和牛よりも高い(図1)。

  2. ロース部の脂肪酸組成で最も多いオレイン酸は、県産牛では49.2%を占め、飽和脂肪酸であるステアリン酸は10.7%で輸入牛より低い(図2)。

  3. 県産牛の皮下脂肪の融点は、平均で26.6でステアリン酸とは正の相関関係がある(図3)。

  4. ロース部の遊離アミノ酸では、旨み系のグルタミン酸及びアスパラギン酸はそれぞれ、20.4mg/100g及び11.7mg/100g含有しており、高い傾向にある。(図4)

  5. 県産牛のロース部のビタミンE(α-トコフェロール)濃度は556.4±280.1μg/100gで、ややバラツキはあるものの肉色の保持などに最低限必要とされる300μg/100gを上回っている。(図5

[成果の活用面・留意点]
  1. 宮崎県産黒毛和種肥育牛の旨みや風味に関係する脂肪酸やアミノ酸についての指標として活用できる。

  2. 成分値の変動要因の解明や官能試験を行う場合の参考とする。

[具体的データ]

図1 ロース部の一般成分


図2 ロース部の脂肪酸組成


図3 皮下脂肪中の透明融点とステアリン酸の関係


図4 県産牛のロース部の遊離アミノ酸組成


図5 ロース部のビタミンE含量

[その他]
研究課題名:宮崎牛安定生産技術確立試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成17年度(平成17〜20年)


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