飼料イネ「ミナミユタカ」(黄熟期)の飼料特性
- [要約]
- 飼料イネ「ミナミユタカ」(黄熟期)のホールクロップサイレージ(WCS)の消化率は粗蛋白質53.3%、可溶性無窒素物57.9%及び粗繊維で50.9%で、モーれつ種(糊熟期)に比べて低いものの黒毛和種繁殖牛へ粗飼料として活用できる。
- [キーワード]
- 肉用牛、飼料イネホールクロップサイレージ、消化率
- [担当]
- 宮崎畜試・飼養部・肉用牛科
[代表連絡先]電話0984-42-1122
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]研究・参考
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[背景・ねらい]
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宮崎県で新たに開発された難脱粒性の飼料イネ「ミナミユタカ」については、モーれつに比較して漏生籾の発生が軽減されることから、黄熟期での利用が期待されるが飼料特性は明らかにされていない。そこで、維持期の黒毛和種繁殖牛4頭に対し、「ミナミユタカ:黄熟期」ロールベールサイレージを3ヶ月間に渡って給与試験を行い、体重・血液性状の推移等を調査するとともに、全糞採取法により消化試験を行う。
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[成果の内容・特徴]
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TDN摂取量は3か月平均日量で2.87kg、CP摂取量はは0.52sである(表2)。
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ミナミユタカの黄熟期の消化率は粗蛋白質で53.3%でモーれつでの糊熟期に比で低く、粗脂肪・NFE・粗繊維も低い。粗繊維については50.6%で稲ワラより低い傾向にある。
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栄養価(乾物)は、TDN43.5%、DCP3.2%(乾物)であり、その他の成分についても、「モーれつ種」と比較して若干低い値を示す(表4,表5)。
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[成果の活用面・留意点]
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飼料イネ「ミナミユタカ」のWCSは嗜好性が良く、適正な栽培・調製をすると粗飼料として充分活用できる。
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刈り取りステージにより飼料成分が異なる場合があるので飼料分析を行うことが望ましい。
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血液性状では、総コレステロールはやや高くなる傾向を示し、尿素窒素についても高くなることから蛋白質の給与には留意する。
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[具体的データ]
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(調査時期)
平成17年5月〜7月(3ヶ月)

表1 供試牛の概要及び調査時期

表2 飼料摂取量(kg/日)

表3 血液性状(単位:月、mg/d)

表4 消化試験の供試飼料の成分(乾物中)(%)

表5 飼料イネWCSの消化率及び栄養価(乾物中)(%)
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[その他]
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研究課題名:21世紀を担う肉用繁殖牛の飼養管理確立試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成16年度(平成13〜16年度)
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