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晩生モモ「川中島白桃」における果肉異常軽減のための収穫時期の判定法


[要約]
「川中島白桃」では、果肉硬度がユニバーサル硬度計で平均2.0kg以下となる時期に果肉異常の重症果が多発するため、収穫時期の決定には、果肉硬度を判断基準として用いるのが最も有効である。一方、着色は果肉異常発生時期との関連性が低く、収穫時期の判断材料に用いることは避けるべきである。

[キーワード]
モモ、川中島白桃、果肉異常、収穫時期、果肉硬度

[担当]
熊本県農研セ・果樹研・落葉果樹研究室

[代表連絡先]電話0964-32-1723	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
近年、気候温暖化による生育の前進化に伴い、中晩生モモを中心に果肉異常(みつ症)が多発するようになった。特に、晩生品種での発生が多く、その軽減技術の開発が急務である。そこで、晩生の主要品種「川中島白桃」について、果実品質の経時的変化から果肉異常の発生時期を推測し、果肉異常を軽減できる収穫時期の判定法を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 果肉硬度がユニバーサル硬度計(12mmφの円錐針を使用)で平均2.0kg以下になる時期から、果肉異常の重症果(果肉異常程度3以上)が多発する(図1図4)。この傾向には年次変動がみられない。なお、果肉硬度と果肉異常程度との間には、3カ年の調査日別の平均値を用いて相関係数(n=20)を算出すると、高い負の相関関係が認められる(r=-0.890**)。

  2. 着色の進行と果肉異常の発生時期との間には関連性がみられず、年次間差が大きい(図2図4)。したがって、着色不良年には収穫が遅れて果肉異常が多発する危険性があるため、収穫時期の判断材料に用いることは避けるべきである。

  3. 糖度(Brix)の上昇が緩やかになる時期から、果肉異常の発生がみられる(図3図4)。したがって、果肉異常の発生を予測して収穫を行った場合でも、従来より糖度を低下させることはない。

[成果の活用面・留意点]
  1. 平均果肉硬度を抽出する果実は健全果からランダムに選び、核割れ果や傷果、小玉果等の不良果は使用しない。なお、本試験では園全体から6樹(平棚仕立て)を供試し、1樹当たり5果ずつ、計30果について5日おきに調査した。

  2. 立ち木仕立ての場合、樹冠基部の果実は生育が遅れるため、樹冠先端部〜中央部までの果実を調査に用いる。

[具体的データ]

図1 「川中島白桃」の満開後日数別果肉硬度の推移


図2 「川中島白桃」の満開後日数別着色度の推移


図3 「川中島白桃」の満開後日数別糖度(Brix)の推移


図4 「川中島白桃」の満開後日数別果肉異常発生の推移

[その他]
研究課題名:気候温暖化に対応した果肉異常軽減技術の開発
予算区分 :気候温暖化
研究期間 :2003〜2007年度


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