ハウスミカンにおける収量とプラントキャノピーアナライザーで推定した加温前の葉面積指数との関係
- [要約]
- ハウスミカンにおける葉面積指数は、プラントキャノピーアナライザーで簡易に推定できる。また、加温前の圃場面積あたり葉面積指数が大きいほど、10aあたり収量が高くなる傾向がある。
- [キーワード]
- ハウスミカン、プラントキャノピーアナライザー、葉面積指数、収量
- [担当]
- 大分農林水産研果樹・常緑果樹担当
[代表連絡先]電話0978-72-0407
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年の重油高騰を受け、ハウスミカンでは多収要因の解明と対策の明確化が急務である。そこで、生産力指標である葉面積指数(以下LAI)の算出におけるプラントキャノピーアナライザー(LAI-2000、LI-COR社製、以下PCA)の実用性を検討し、収量と加温前の葉面積指数との関係を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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PCA測定値と実測によるLAI(摘葉し葉面積計で計測)との間には、ほぼ1:1で対応した、0.1%水準で有意な正の相関が認められる(図1)。
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葉群が密集する樹冠中位と比較して、葉群が近接しない地表面からの測定の方がPCA測定値は誤差が小さい(図2)。
- ビューキャップの違いによる測定値の誤差は、開度180度≒270度<45度≒90度の順で大きい(図2)。
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開度180、270度ビューキャップ使用による地表面からのPCA測定であれば誤差は小さい(図2)。
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樹冠下4方位測定法によるPCA測定値は、従来法(葉数と個葉の平均葉面積で算出)による圃場面積あたりLAI(以下LAIf)と0.1%水準で、樹冠占有面積あたりLAI(以下LAIc)と1%水準でそれぞれ有意な正の相関を示し、LAIcとの関係が1:1に近い(図3)。
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LAIfのPCA推定値(PCA測定値と樹冠占有面積率との積)と従来法によるLAIfとの間には、0.1%水準で有意な正の相関が認められる(図4)。
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PCA測定値からLAIcやLAIfを直接推測するよりも、樹冠占有面積率を別途算出し、LAIfを推定した方がより正確である(図3、図4)。
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加温前のLAIfと10aあたり収量との関係を樹齢別にみると、樹齢に関係なく、加温前のLAIfが大きいほど収量が高く、0.1%水準で有意な相関が認められる(図5)。
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樹冠占有面積率と10aあたり収量との関係は、樹冠占有面積率が大きくなるほど10aあたり収量が大きくなり、1%水準で有意な相関が認められる(図6)。
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[成果の活用面・留意点]
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PCA測定は、曇天日の日中や晴天日の夕刻など、散乱光条件で実施する必要がある。
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葉群の中にセンサーを挿入し、センサー部の真上に接近した葉が覆い被さると、過大評価され誤差が大きくなる。
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開心自然形を対象とした結果であるため、樹形が異なる場合には注意が必要である。
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[具体的データ]
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図1 実測AIとPCA測定値との比較

図2 積算LAcとビューキャップ開度が異なるPCA測定値との比較

図3 PCA測定値と従来法LAIとの関係

図4 LAIfのPCA推定値と従来法LAIfとの関係

図5 加温前のLAIfと10aあたり収量との関係

図6 樹冠占有面積率と10aあたり収量との関係
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[その他]
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研究課題名:ハウスミカンの高生産・低コスト生産技術
予算区分 :県単
研究期間 :2005〜2009年度
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