カキ「早秋」における結果母枝や新梢長と結果率・果実品質
- [要約]
- カキ「早秋」は、長さ20cm未満の結果母枝や20cm以上の結果母枝の下位節から発生した新梢で結果率が高い。また、長さ20cm以上40cm未満の新梢で結果率が高く、果実品質は新梢長による明らかな差がない。
- [キーワード]
- カキ、早秋、結果母枝、新梢、結果率
- [担当]
- 福岡県農総試・果樹部・果樹育種チーム
[代表連絡先]電話092-922-4946
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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カキ「早秋」は、種子形成力が弱く単為結果性が低いため、早期生理落果が多く生産が不安定である。そこで、結果量を安定して確保するための基礎資料として、結果母枝や新梢の長さが着花数や結果率、果実品質に及ぼす影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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長さ10cm以上20cm未満の結果母枝では、頂芽から第2芽付近までに発生した新梢で7個程度の花蕾が着生する。長さが20cmを超える結果母枝では、着花数が多く、第5芽より下位節の新梢にも花蕾が着生する(表1)。
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長さ10cm以上20cm未満の結果母枝の上位節や20cm以上の結果母枝の下位節から発生する新梢は長さが概ね20〜30cm程度で、結果率が比較的高い。また、短い結果母枝では結果率が高い傾向がみられる(図1、一部データ略)。
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新梢では、長さ40cm未満のもので結果率が高い(図2)。
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新梢長が短いほど果実重は軽くなるが、20cm以上の新梢ではその差は小さく、果実品質には新梢の長さによる違いは見られない(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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カキ「早秋」におけるせん定時の結果母枝選定の参考資料として活用できる。
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結果量を多く確保するためには、20cm未満の短い結果母枝をやや多く配置する。また、20cm以上の結果母枝を利用する場合には、長さや充実度に応じて先端を先刈りすると、摘蕾作業の省力化を図ることができる。
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カキ「早秋」は樹勢が強過ぎると枝の伸長が旺盛になり、結果率が低下するので、肥培管理等に注意し、適切な樹勢を維持するように注意する。
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[具体的データ]
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表1 「早秋」の結果母枝長と着花数(2002〜2005年)

図1 結果母枝の発芽節位と結果率(2002〜2005年)

図2 新梢長と結果率 (2002〜2005年)

表2 「早秋」の新梢長と果実品質
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[その他]
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研究課題名:カキ新品種「早秋」の高品質安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2006年度
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