Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成18年度目次

カキ実生の試験管内コルヒチン処理による染色体倍加


[要約]
六倍体ガキ同士の交雑から得られた実生を試験管内においてコルヒチン濃度0.03〜0.05%で12〜24時間処理すると染色体倍加した十二倍体の獲得効率が高い。十二倍体個体の気孔は、交配親品種と比較して大きく、密度は低い。

[キーワード]
カキ、コルヒチン、染色体倍加、十二倍体

[担当]
福岡県農総試・果樹部・果樹育種チーム

[代表連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
無核の完全甘ガキ品種を育成するためには、完全甘ガキ同士の交雑で九倍体を作出するのが一つの方法である。また、既存の完全甘ガキ品種はほとんどが六倍体であり、これと十二倍体を交雑することにより、効率的に九倍体を作出できる可能性がある。そこで、六倍体完全甘ガキ同士の交雑から得られた実生にコルヒチンを処理して、十二倍体実生の作出を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. カキの交雑実生の成長点をコルヒチンを含む寒天培地に埋没させることで、染色体倍加ができる(表1図1)。

  2. コルヒチンの処理濃度が高く、処理時間が長くなると成長点の生存率は低くなる。コルヒチン濃度0.03〜0.05%、処理時間12〜24時間で最も効率的に染色体倍加した十二倍体個体が獲得できる(表1、一部データ略)。

  3. コルヒチン処理で得られた十二倍体個体は、生育が悪く鉢上げ後に伸長停止するものが多い(データ略)。順調に生育した個体の葉では、六倍体である交配親品種よりも気孔密度が半分程度と低く、気孔が1.2倍程度大きい(図2、一部データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 無核で完全甘ガキ育成のための十二倍体の中間母本作出法として活用できる。

[具体的データ]

表1 コルヒチン処理の濃度と時間がカキ実生の染色体倍加に及ぼす影響(2003〜2005年)


図1 染色体倍加個体の染色体


図2 染色体倍加個体の気孔

[その他]
研究課題名:ゲノム操作等によるカキ育種技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2005年度


目次へ戻る