Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成18年度目次

外気導入式強制換気法による昇温抑制及びトマトのリコペン含量増加


[要約]
外気導入ファンと換気扇を組み合わせた外気導入式強制換気法により、ハウス内の昇温が抑制され、夏秋どりにおけるトマト赤色系品種、桃色系品種ともにリコペン含量および糖度が増加する。また、トマトの1果重が重くなり、総収量が増加する。

[キーワード]
トマト、外気導入、強制換気、昇温抑制、リコペン、糖度

[担当]
福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム

[代表連絡先]電話092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
本県における施設トマト栽培では、タバココナジラミの侵入を防止するために、微小目合いの防虫ネットの導入が進んでいる。しかし、換気効率が低下し、ハウス内の昇温抑制技術の確立が求められている。一方、トマト赤色系品種は機能性成分であるリコペン含量が高いことから導入が検討されている。しかし、トマトのリコペン生成は高温により抑制されることが報告されている。そこで、外気導入ファンと換気扇(内気排出)を組み合わせ、換気効率を高めた外気導入式強制換気法を開発するとともに、本技術の昇温抑制効果およびトマト桃色系品種、リコペン含量が高い赤色系品種の収量、品質、リコペン含量等に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 外気導入ファンと換気扇を組み合わせた強制換気ハウスでは、8月の晴天日における12〜14時の平均気温が、対照ハウスに比べて6低くなる(図1-a図2)。

  2. 強制換気ハウスでは、側面から1m地点(図1-a)において、ハウスの外側から内側に向けて常時0.2〜0.4m/sの風が発生し、妻面のみならず、側面からも外気が導入される(図1-b)。

  3. 強制換気ハウスにおけるトマトのリコペン含量は、対照ハウスに比べて赤色系品種「kc02-115」、桃色系品種「ハウス桃太郎」ともに高くなる(図3)。また、トマトの糖度が高く、光合成速度も増加する(表1)。

  4. 強制換気ハウスにおけるトマトの1果重は、対照ハウスに比べて重くなり、総収量が増加する。しかし、裂果の発生率が高くなることから、上中物率は低くなり、上中物収量は同等となる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 夏季高温期におけるハウス内昇温抑制技術資料として活用できる。

  2. 高温期におけるトマト育苗時の昇温抑制技術としても活用できる。

  3. 試験に供試した換気扇(フルタ電機:MGT10406)は約10万円、外気導入ファン(フルタ電機:エアビームAB451)は約4万円である。

  4. 裂果を軽減するには、梅雨明け後、土壌水分の急変に留意する。

  5. 「kc02-115」はカゴメ(株)育成の高リコペン品種である。

[具体的データ]

図1-a強制換気ハウス内の気温(2005年度)


図1-b強制換気ハウス内の風向、風速(2005年度)


図2 外気導入ファンの設置方法


図3 強制換気ハウスにおけるトマトのリコペン含量


表1 強制換気ハウスとトマトの収量、品質および光合成速度(2005年度)

[その他]
研究課題名:外気導入式強制換気法による高温抑制システムの開発
予算区分 :国庫受託(ブランドニッポン)
研究期間 :2005年度


目次へ戻る