小鉢生産のためのヤマアジサイの品種選定と4月出し栽培技術
- [要約]
- ヤマアジサイの小鉢生産には、側枝にも花芽を分化する側枝着花型品種`クレナイ'、`シチダンカ'、`七変化'および`深山の八重'が適する。鉢上げ6週間後に緩効性肥料を2g/鉢与えたコンパクトな苗を夜間最低気温13
で栽培すると4月下旬出しが可能であり、定植後の施肥は、緩効性肥料を4号鉢当り4g用いることで高品質の鉢物を生産できる。
- [キーワード]
- ヤマアジサイ、小鉢生産、品種、育苗、栽培夜温、緩効性肥料
- [担当]
- 福岡農総試花き部・花き栽培チーム
[代表連絡先]電話092-922-4958
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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福岡県における平成16年の鉢物類の生産面積は101ha、生産額は65.6億円である。しかし、単価の低下が続いており、新品目や新品種の導入および新作型の開発による収益の確保が求められている。また、品目や品種の変化が加速しており、特に需要の大きい`母の日'のための4月出し栽培において、常に新しい商品の開発と市場への提案による変化の先取りが求められている。
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[成果の内容・特徴]
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ヤマアジサイは、着花形態により、主に頂芽に着花する頂芽着花型と側枝にも着花する側枝着花型に分類でき、頂芽着花型に比べて着花数の多い側枝着花型が小鉢生産に適し、7月下旬に摘心した場合、着花率が大幅に低下するため、育苗時の摘心は必要ない。`クレナイ'、`シチダンカ'、`七変化'および`深山の八重'が鉢物に適する(表1)。
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品種`クレナイ'の育苗(11.2cm径底面給水鉢)では、樋式底面給水で常時湛水した場合、7月下旬に2g/鉢の緩効性肥料を施肥することで花着きが良く、枝数の多いコンパクトな苗を生産できる(表2)。
- 2月上旬に加温を開始した場合の栽培夜温は、`クレナイ'の場合13
とすることで4月下旬出しが可能である(図1)。
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`クレナイ'の加温促成栽培では、緩効性肥料(マイクロロングトータル201)100日タイプを4号底面給水鉢当り4g用いることで、葉色の濃い、高品質の鉢物を生産できる(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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シクラメンの組合せ品目におけるアジサイの新商品栽培技術として活用できる。
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苗の着花を確実にするためには、樋式の底面給水栽培により育苗するなど、水切れしない管理を徹底する。また、梅雨明けから10月上旬までは寒冷紗で遮光する。
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品種によって生育反応が異なるため、施肥量や加温温度は品種特性を確認してデータを活用する。
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[具体的データ]
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表1 ヤマアジサイの品種特性1)(平成16、17年)

表2 施肥方法が苗の生育と開花数に及ぼす影響1)

図1 栽培夜温とヤマアジサイ`クレナイ'の生育(平成17年)

図2 施肥方法とヤマアジサイ`クレナイ'の生育(平成17年)
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[その他]
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研究課題名:ヤマアジサイの品種選定と鉢物化技術
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2005年度
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