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平張施設雨除け用低コスト屋根取付工法


[要約]
雨除け用の被覆資材の取り付けが困難な平張施設に対し、被覆資材が容易に取り付けられる低コストな屋根取付用のアーチパイプ簡易継手を開発する。

[キーワード]
平張施設、園芸施設、雨除け、低コスト

[担当]
沖縄県農研・農業システム開発班

[代表連絡先]電話098-840-8515	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
沖縄県内で普及している平張施設はキクの作付け面積の30%で利用されている。しかし、近年は高湿度条件化で発病しやすい褐斑病や白さび病などの発病抑制や日持ち性向上のために行う収穫前の土壌水分の管理が課題となっており、これまでの風害対策のみならず、湿害対策も加味した平張施設の高度利用を図る必要がでてきた。施設内への降雨の浸入を防ぐためには、フィルムの被覆が必要となるが、本施設の屋根は平面で、多くは勾配がない状態で設置されているため、水の排水が困難であることから、一般には防虫網のみを被覆している。そこで、平張施設に取り付ける雨除け用低コスト屋根及び取り付け工法を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 雨除け機構は、直径22.2×厚さ1.2mmの丸形鋼管をアーチ型に曲げ加工し、スパン方向に6m、奥行き方向に150cmの間隔で配置し、平張施設の梁の上に連結固定した逆台形上の丸鋼にアーチパイプを差し込み、ビスで固定する(図1図2)。逆台形上の丸鋼は、梁の下側から被せたアーチ受け金具(コの字状の板金)の上端横穴に挿通し、この金具の下端にくさびを打ち込んで固定する。丸鋼の上には樋を設置する。アーチ受け金具はワイヤーに代替えしても良い。

  2. フィルムはアーチ型に加工した鋼管(アーチパイプ)の上から被覆する。フィルムの設置作業を4名作業で実施した場合の作業時間は、間口12m、奥行き48mの施設において、1h程度である(図3)。

  3. 溶接などを必要とした屋根取付け作業と比べて、開発した雨除け機構の価格は80%程度の費用(施工費込み)で設置可能である。また、溶接作業が無くなることで、作業時間が短縮でき、防錆対策も軽減できる。

  4. 雨除け機構を付加した施設では、慣行区に比べて褐斑病と白錆病の発病率を低減できると考えられる(表1図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 雨除け機構の耐風性能は低く、台風来襲時にはフィルムを撤去することが望ましい。また、季節風が強く吹きつける地域で利用する場合には、強度の向上が必要である。

  2. 雨除け機構は、沖縄県において1,000円/m2(施工費込み)で市販されている(2007.1月現在)。

[具体的データ]

図1 雨除け機構付加型平張施設(キク栽培用)


図2 雨除け機構付加用継手


図3 雨除け機構の取付け状況


表1 キク栽培における発病状況の調査結果

[その他]
研究課題名:亜熱帯地域における夏秋期野菜、花きの安定生産システムの開発
      1.低コスト耐風性施設の改良及び周年利用型施設の開発
      (1)周年利用型への既存耐風性施設の改良及び新型施設の開発と耐風性能の解明
予算区分 :委託
研究期間 :2004〜2005年度

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