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イチゴ高設栽培におけるフィルム型日射センサを用いた自動かん水制御


[要約]
イチゴの高設栽培で太陽光発電素子のフィルム型日射センサと日射比例制御コントローラーにより自動かん水制御ができる。積算日射量3MJ/m2を基準に給液すると、日々の日射量に比例して給液制御ができ、排液率の変動が少なくなる。

[キーワード]
イチゴ、高設栽培、日射比例制御、自動かん水制御、排液率

[担当]
福岡農総試・野菜栽培部・イチゴ栽培チーム、太洋興業(株)、島根大学

[代表連絡先]電話092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
福岡県のイチゴ高設栽培では、緩効性肥料を基肥に施用し、その後は生育に応じて4〜5日間隔に液肥を施用し、培地の乾きを見ながらかん水を行っている。これらの養水分管理方法では、生産者個々の判断となり、かん水量の過不足による草勢や収量の格差が生じているため、季節、イチゴの生育及び蒸散量に応じた管理技術の確立が求められている。
したがって、イチゴの吸水量の基礎となる日射量に基づいた給液制御法を確立することにより、給水量や施肥量の節減が可能となると考えられる。そこで、太陽光発電を用いた日射量計測システムを用いて、積算日射量に比例した給液制御が生育、収量及び排液率に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 太陽光発電素子を用いたフィルム型日射センサと日射比例制御コントローラーを組み合わせた自動かん水制御システムを開発した(図1-a図1-b)

  2. このシステムを用いることにより、日々の積算日射量に比例して給液量が増減し、排液率の変動をタイマー制御より少なくできる(図2)。

  3. 本システムによる自動かん水制御は、タイマー制御に比べて給液量が約20%少ない。また、積算日射量3MJ/m2を基準にした給液制御は、6MJ/m2を基準にした場合より排液率が低い(表1)。

  4. 草高は、給液制御方法に関係がなく同等である。(データー略)。

  5. 本システムにおける11月〜4月の商品果収量は、冬季高温ハウス、対照ハウスともにタイマー制御と同等である。(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 1回あたりの給液量は、イチゴの生育が季節及びハウス内温度等で変化するため設定を変更する(株当たり30cc〜35cc)。

  2. 太陽光発電素子を用いたフィルム型の日射センサの耐久性は、概ね1年程度である。

  3. 積算日射量を演算する日射比例制御コントローラーは、制御対象機器の追加により、積算日射量を基としたかん水や遮光資材開閉等の制御が可能となる。

  4. フィルム型の日射センサと日射比例制御コントローラーの販売は、18年度の実用化試験後である。

  5. イチゴの高設栽培のための基礎資料とする。

[具体的データ]

図1-a フィルム型の日射センサ


図1-b 日射比例制御コントローラー


図2 積算日射量、給液量、給液方法と排液率(平成17年)


表1 給液制御方法と給液量及び排液率(冬季高温ハウス)(平成17年)


表2 給液制御方法と商品果収量(平成17年)

[その他]
研究課題名:イチゴ高設栽培における日射量に応じた給液制御技術
予算区分 :国庫受託(地域食料産業等再生)
研究期間 :2005年度


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