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促成ナスにおけるフィルム型日射センサを用いた暖房機の温度調節技術


[要約]
暖房機の設定温度をフィルム型日射センサと日射比例制御コントローラにより自動制御できる。促成ナス栽培において、積算日射量に応じた前夜半の温度制御を行うことにより、制御開始後の商品果収量は多くなるが、燃料消費量も多くなる。

[キーワード]
促成ナス、日射比例制御、暖房機、商品果収量、燃料消費量

[担当]
福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム、太洋興業株式会社、島根大学

[代表連絡先]電話092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
促成ナスにおいて厳寒期(1〜3月)に適切な温度環境で栽培することが、草勢を維持して、高い収量や品質の確保につながる。そのため、生産現場では、変温サーモを用いて時間帯により暖房温度を変動させる管理が導入されている。しかし、この方法は、主に晴天日に前夜半の温度を上げ、光合成産物の転流を促すものであるが、日々の日射量に対応できないため、変温サーモを利用せず、一定の夜温管理が慣行となっている。
一方、太陽電池を利用した日射量の計測方法が開発され、日射量に応じた施設内の環境制御が可能な低価格のシステム開発が期待される。
そこで、太陽電池を利用した日射量計測方法を用いて、積算日射量に応じた前夜半の温度管理が収量や品質に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 太陽光発電素子を用いたフィルム型日射センサと日射比例制御コントローラを組み合わせた暖房機温度制御システムを開発した(図1-a図1-b)。

  2. 本システムを用いて、前夜半の温度を日射比例制御することにより、日々の日射量に応じて施設内温度が変動する。前夜半の温度は、日射比例制御すると夜温一定の慣行と比較して、晴天日は高く、曇天日には逆に低くなる(図2図3)。

  3. 前夜半の温度を日射比例制御すると慣行と比較して、制御開始以降の果数及び総収量は同等であるが、曲がり果等の不良果が減り商品果収量が多くなる(表1、一部データ略)。

  4. 前夜半の温度を日射比例制御すると慣行と比較して、11月〜4月までの灯油消費量が多くなり、特に日射量の多い3〜4月には多くなる(表1、一部データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 暖房機の設定温度の算出式は、地域、圃場の日射量平年値を基に作成する必要がある。

  2. 太陽光発電素子を用いたフィルム型の日射センサの耐久性は、概ね1年程度である。

  3. 積算日射量を演算する日射比例制御コントローラは、制御対象機器によりリレー等の追加が必要であり、それにより積算日射量を基とした環境制御が可能となる。

[具体的データ]

図1-a 日射量測定フィルム型センサ


図1-b 日射比例制御コントローラ


図2 積算日射量と18〜22時の施設内温度 (平成17年度)


図3 晴天日(2月12〜13日)の温度推移 (平成17年度)


表1 夜温制御方法と階級別収量 (平成17年度)

[その他]
研究課題名:ナスの日射量に応じた暖房機の温度調節技術
予算区分 :国庫受託(地域食料産業等再生)
研究期間 :2005年度


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