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防蛾灯の緑色蛍光灯がイチゴ「あまおう」の第1次腋花房花芽分化に及ぼす影響


[要約]
イチゴ「あまおう」の栽培で防蛾灯を終夜照明すると、黄色蛍光灯では、水平照度が2Lx以上で第1次腋花房の花芽分化が遅れるが、緑色蛍光灯は、水平照度が9Lx以内であれば生育や花芽分化に影響がない。

[キーワード]
イチゴ、あまおう、防蛾灯、緑色蛍光灯、花芽分化

[担当]
福岡農総試・筑後分場・野菜チーム

[代表連絡先]電話0944-32-1029	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
多くの野菜を加害するハスモンヨトウ、オオタバコガなどの夜行性の蛾類に対する防除法の1つとして、黄色蛍光灯による夜間照明が有効である。しかし、イチゴの促成栽培では、その照明により花芽分化が抑制され(佐藤ら、2004年九農研)、収穫が遅れて問題となる。特に「あまおう」は、「とよのか」に比べ光に対する反応が敏感な品種である。最近、夜行性の蛾に対する行動抑制効果が高い波長域(545nm)は含むが、花芽形成抑制作用があるとされる赤色光域(600〜700nm)をほとんど含まない緑色蛍光灯が販売された。
そこで、黄色蛍光灯および緑色蛍光灯による照明が、イチゴ「あまおう」の第1次腋花房花芽分化に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 「あまおう」の高設栽培で黄色蛍光灯を図1のように設置して終夜(17時30分〜6時30分)照明すると、水平照度2Lxより頂花房と第1次腋花房間の葉数が増加して第1次腋花房の花芽分化に影響が現れ、3Lx以上で収穫開始が8日以上遅れる(表1)。

  2. 一方、同様に緑色蛍光灯を終夜照明した場合、水平照度9Lx以内では、第1次腋花房の花芽分化に影響がない(図1表1)。

  3. 「あまおう」の生育に及ぼす影響は、黄色蛍光灯は水平照度1Lx以上で草高および葉柄長が高くなるが、緑色蛍光灯は9Lx以内で生育への影響がない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「あまおう」で防蛾灯を利用する際の基礎資料として活用できる。

  2. 防蛾灯の主な波長域は、黄色蛍光灯が540〜640nm(最大波長580nm)、緑色蛍光灯が510〜560nm(最大波長520nm)である。

  3. 黄色蛍光灯は、平均空間照度1Lx以上で夜行性蛾類の行動を抑制できるが、緑色蛍光灯は黄色蛍光灯に比べて照度が30%程度低いため、設置間隔を狭くする必要がある。

[具体的データ]

図1 防蛾灯の設置位置および調査対象範囲


表1 防蛾灯の照度が「あまおう」の第1次腋花房花芽形成に及ぼす影響


表2 防蛾灯の照度と「あまおう」の生育

[その他]
研究課題名:筑後地域における「あまおう」の安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2006年度


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