Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成18年度目次

イチゴ「さがほのか」の短日処理による頂花房花芽分化と収穫開始期の前進化


[要約]
標高400mの中山間地域においては、イチゴ「さがほのか」は短日処理のみで頂花房の花芽分化を早進化でき、収穫開始期も早くなる。短日処理を5月末に開始すると約20日後に花芽分化し、7月上旬に開始すると25〜35日後に花芽分化して定植可能な苗となり、それぞれ収穫期も前進化できる。

[キーワード]
イチゴ、さがほのか、短日処理、花芽分化、中山間地域

[担当]
佐賀農業セ・三瀬分場・山間畑作研究担当

[代表連絡先]電話0952-56-2040	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
一季成り性品種の中で、夏季にも花芽分化しやすい特性を持つ「さがほのか」を用い、中山間地の夏期冷涼な気象条件を活かして9〜10月どり作型を開発するため、育苗期間の短日処理による頂花房花芽分化や収穫開始期の前進化について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 5月末に短日処理を開始した苗は、約20日後の6月中旬に花芽分化し、7月末に出蕾する(表1)。
    収穫開始期は8月下旬となる(表1)。

  2. 7月上旬に短日処理を開始した苗は、25〜35日後の8月上旬に花芽分化する。なお、短日処理に冷風処理を加えるとやや花芽分化が早くなるが、その効果は小さい(表1表2)。
    頂花房の出蕾は9月中旬、収穫開始期は10月中旬〜下旬となる(表1表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 中山間地域(標高400m以上)における9、10月どり作型開発に活用する。

  2. 間口6mパイプハウス(天井部遮光率40%遮光ネット)下でベンチ育苗を行い、高さ65cm、幅120cmの金網のベンチ上に遮光ネット(遮光率40%)を敷き苗を並べ、遮光シート(遮光率100%、表:銀、裏:黒)で17時から翌朝9時まで覆って短日処理を行った結果である(図1)。

  3. 5月30日に短日処理を開始した苗は、秋季から冬季にかけて低温遭遇させた親株を2月8日にハウス(最低温度摂氏5度)に入れ、電照を行い、4月上旬〜5月中旬に採苗し、屋外ベンチ上で育苗、7月3日に短日処理を開始した苗は屋外ベンチ上で採苗・育苗を行ったものである。

[具体的データ]

表1 短日処理時期の違いと頂花房の花芽および花房の発育(2006年)


表2 短日および短日冷風処理と頂花房の花芽および花房の発育(2005年)


図1 高設ベンチ上での短日処理(2006年:17〜9時)

[その他]
研究課題名:イチゴの周年出荷を目指した新作型・栽培型と高品質生産技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2006年度


目次へ戻る