クラウン部冷却によるイチゴ「さがほのか」据え置き2年株の秋季花房出蕾・収穫時期の早進化
- [要約]
- 標高400mの中山間地域において、イチゴ「さがほのか」据え置き株を利用して2年目連続栽培を行う場合、クラウン部冷却を行えば、新たな花房が8月下旬から出蕾し、9月下旬から収穫開始できる。また、11月下旬までには次果房の収穫も開始できる。
- [キーワード]
- イチゴ、さがほのか、据え置き2年株、クラウン部冷却、高設栽培
- [担当]
- 佐賀農業セ・三瀬分場・山間畑作研究担当
[代表連絡先]電話0952-56-2040
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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中山間地の夏期冷涼な気象条件や冷たい水を活用したイチゴ「さがほのか」の栽培技術を開発するため、高設栽培据え置き2年株に対する夏季クラウン部冷却が新たな花房出蕾、収穫開始時期に及ぼす影響について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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クラウン部冷却を行うと、新たな花房が8月下旬から出蕾し、9月下旬から10月下旬に収穫開始できる株の割合が高くなる(表1)。
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クラウン部冷却を行うと、11月下旬までに収穫開始できる株の割合が高く、加えて、次果房も連続して収穫可能となる(表2、図1)。
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クラウン部冷却を行わないと、11月下旬までに収穫できる株の割合が低く推移する(表1、表2)。
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クラウン部冷却を行うと、11月下旬までの商品果収量はクラウン部冷却を行わない株の5.7培程度確保できる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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中山間地(標高400m以上)における「さがほのか」の高設栽培に適用できる。
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6月6日から9月27日まで1昼夜連続でクラウン部冷却を行った結果である。
- クラウン部冷却期間中は、長さ15m、2条植の高設栽培槽において摂氏18.7±1.4度の水をクラウン部に密着させた冷却管(直径19mm鉄管)に毎時130リットル通水することで、8月から9月の冷却管の表面温度を最高で摂氏25.4度、平均で摂氏17〜21度程度に制御した結果である。
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1年目の株の収穫を延長し、花房の出蕾が途切れ、新たな花房の出蕾を検討した結果である。
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緩効性被覆肥料(70日タイプ)N770mg/株を6月20日に施用し、7月下旬まで商品果を収穫、その後、古葉は摘葉、2〜3芽に整理しダニ防除を行ったものである。
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[具体的データ]
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表1 据え置き株のクラウン部冷却と9月下旬から10月下旬の収穫開始株(2006年)

表2 据え置き株のクラウン部冷却と9月下旬から11月下旬の収穫開始株(2006年)

図1 据え置き株(クラウン部冷却、2006年11月25日)
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[その他]
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研究課題名:イチゴの周年出荷を目指した新作型・栽培型と高品質生産技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2006年度
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