ワケギ優良系統「熊本わけぎ2号」、「熊本わけぎ冬」の特性
- [要約]
- ワケギ優良系統「熊本わけぎ2号」は、郷土料理`ひともじのぐるぐる'に適し、春どり栽培で多収性である。また、「熊本わけぎ冬」と組み合わせることにより周年栽培を可能とする。
- [キーワード]
- ワケギ、系統、休眠、周年供給
- [担当]
- 熊本農研セ・農産園芸研究所・野菜研究室
[代表連絡先]電話096-248-6446
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 熊本県におけるワケギは、特産野菜`ひともじ'として地場消費を中心とした需要が高く、郷土料理`ひともじのぐるぐる'の材料とされる。また、地産地消の一品目として、周年供給の要望が強まっている。その一方で、これまで「熊本わけぎ1号」(熊本県農業研究成果情報No.55(平成13年7月))を普及させたところであるが、夏どりおよび厳寒期どりには適さない。
- そこで、県内のワケギ(在来)系統を収集し、その中から郷土料理`ひともじのぐるぐる'に適し、形質が安定し、周年栽培が可能な優良系統を選定する。
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[成果の内容・特徴]
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県内の在来系統ワケギから25系統を収集し、その中から優良2系統を選定した。
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ワケギ優良系統「熊本わけぎ2号」は次の特性を有する。
1)種球の休眠が浅く(データ省略)、従来では収穫できない7月中・下旬での収穫が可能である(表1、表2)。
2)春どり栽培で多収性を示す(表1)。
3)葉数および分けつ数が多く、葉身・葉鞘が細い(表1、図1)。
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ワケギ優良系統「熊本わけぎ冬」は、従来では収穫できない1月から2月での収穫が可能である(表1、表2、図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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特に「熊本わけぎ2号」は、その特性から郷土料理「ひともじのぐるぐる」に適する。
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周年栽培は、「熊本わけぎ2号」および「熊本わけぎ冬」の組み合わせによる。また、平坦地においては、6月収穫を中心に栽培が不可能な時期がある(表2)。
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ワケギ優良系統「熊本わけぎ2号」の夏どり栽培では、りん茎(葉鞘基部)の肥大抑制対策として、遠赤外線カットフィルムによる雨よけ栽培、30%遮光資材の展張、白黒ダブルマルチによる被覆およびかん水チューブによる多回数かん水が必要である。
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[具体的データ]
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表1 特性

表2 わけぎの作型および系統名

図1 熊本わけぎ2号

図2 熊本わけぎ冬
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[その他]
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研究課題名:地産地消を支援する農畜産物の高付加価値生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2005年度
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