夏秋どりカラーピーマンのかん水同時施肥栽培技術
- [要約]
- カラーピーマンのかん水同時施肥栽培において、時期別のかん水量を制御し、窒素施肥量を3割減肥で管理すると葉柄汁液中の硝酸態窒素濃度が1100〜2000ppmで推移し、慣行栽培を上回る収量を確保できる。また、尻腐れ果の発生を軽減する。
- [キーワード]
- カラーピーマン、かん水同時施肥、尻腐れ果
- [担当]
- 大分農林水産研野茶・野菜担当
[代表連絡先]電話0974-22-0671
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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カラーピーマンは近年需要が増大しているが、流通量の90%が輸入物であり国内での栽培技術が確立されていない。特に果実が大きく収穫までの期間が長いために、着果負担が大きくなり収量が低下しやすい。そこで、カラーピーマンの草勢維持のため、トマト、ピーマン等へ導入されつつあるかん水同時施肥技術をカラーピーマンで確立する。
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[成果の内容・特徴]
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かん水同時施肥栽培では、定植後梅雨明けまでpF2.3、梅雨明け後9月上旬までpF2.1、9月中旬以降pF2.3を土壌水分の上限目標値として水管理すると、日かん水量は1.0〜4.5mmの範囲でほぼ一定に推移する。これを生育時期別のかん水量としてマニュアル化できる(図1)。
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栽培期間中の土壌水分変化の推移は、慣行栽培では表層、下層共に乾湿の差が大きいが、かん水同時施肥栽培では差が小さく、概ねpF1.7〜2.3で推移する。(図2)。
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かん水同時施肥栽培では、10倍希釈した窒素資材で1日当たり窒素100g/10aを液肥施用すると、いずれの品種も、葉柄汁中の硝酸態窒素濃度が生育初期及び後期に1500〜2000ppm、着果量の多い生育最盛期(6〜8月)には1100〜1400ppmと慣行栽培と同程度で推移し、3割減肥の影響もほとんど見られない(図3)。
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かん水同時施肥栽培では3割減肥しても、いずれの品種においても、慣行栽培と同等以上の収量である。また、かん水同時施肥栽培では慣行栽培に比べ尻腐れ果の発生率が低く抑えられる(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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毎日第1回目のかん水時に液肥を肥料ポンプで注入し、時期別の土壌水分をモニターしながら適正水分値になるようにかん水時間を増減した結果である。
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本試験で得られた1日当たりの施肥量とかん水量を組合わせ、時期毎の肥培管理マニュアルとし、実際に使用するかん水施肥装置では、これに準じて施肥時間、希釈倍率を設定する。
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[具体的データ]
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図1 栽培期間中のかん水パターン(2005年)

図2 株元の土壌水分値の推移(2005年)

図3 葉柄汁中の硝酸態窒素濃度(2005年)

表1 収量および障害果発生状況
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[その他]
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研究課題名:夏秋どりカラーピーマンのかん水施肥栽培技術
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度
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