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散水によるキクの塩害軽減技術


[要約]
キク栽培の塩害を軽減するためには、潮風によって植物体に塩分が付着する前または直後の散水が効果的である。散水量は本圃では、約5mm以上、採苗圃では約30mm以上必要である。

[キーワード]
キク、塩害、散水、塩害軽減

[担当]
鹿児島農開セ・徳之島支場・野菜花き研究室

[代表連絡先]電話0997-86-2004	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
奄美地域でのキク栽培は台風や冬季の季節風による潮風害で、品質低下を引き起こしている。塩害軽減対策として、スプリンクラーを活用した散水など行われているが、研究事例が少なく、効果的な水利用の知見がない。そこで、散水の時期や量が塩害軽減に及ぼす影響を検討し、塩害軽減技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 本圃の塩害軽減技術(表1

    1)植物体に塩が付着後、散水を行わないと草丈、分枝長が短くなり、切り花重が軽くなる。

    2)塩害を受けると、葉が一部先端から枯れる症状が顕著に発生し、商品性が著しく低下する。

    3)塩害を軽減するためには、塩分が植物体に付着前または直後の散水が効果的で、散水量は約5mm以上必要である。

  2. 採苗圃の塩害軽減技術(表2表3

    1)塩害を受けると平均穂長が短く、1株当たりの穂数が減少し、挿し穂生産性が低下する。

    2)採苗圃の塩害を軽減するためには、塩分が植物体に付着前または直後の散水が効果的で、散水量は約30mm以上必要である。

    3)採苗圃への塩害軽減処理は、その挿し穂を使用した本圃におけるキクの生長にも影響を与え、散水処理が遅れたり、散水量が少なかった場合、草丈伸長が劣り、切り花重が減少する。

[成果の活用面・留意点]
  1. 植物体の塩分の付着量、風の強弱などの気象条件、散水方法の違いによって、散水量が変わることが予想される。本成果における散水処理はかん水チューブを使用した場合である。

[具体的データ]

表1  本圃における散水が生育開花に及ぼす影響


表2  採苗圃における穂の生産に及ぼす影響


表3  採苗圃における散水が生育開花に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:かん水による農作物の収量品質向上と塩害軽減技術の確立
予算区分 :国庫
研究期間 :2003〜2005年度


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