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イチゴ育種における疫病抵抗性の検定法と交配母本


[要約]
イチゴの疫病抵抗性は、疫病菌の遊走子をポット苗に潅注接種することで評価できる。「大村朱」は強度の疫病抵抗性を有し、抵抗性が弱い品種との交配でも抵抗性が強い実生個体を得られることから、交配母本として利用できる。

[キーワード]
イチゴ、育種、疫病、抵抗性、交配母本

[担当]
佐賀農業セ・バイオテクノロジー部・野菜育種研究担当

[代表連絡先]電話0952-45-2141	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
佐賀県のイチゴ栽培では、立枯症による苗不足や定植後の欠株等が問題となっている。立枯症の病原菌の1つは疫病(Phytophythora nicotianae)であり、本病に対して抵抗性を有する品種の開発が急務となっている。しかし、イチゴの疫病抵抗性育種に関する国内の研究蓄積は乏しい。
そこで、疫病抵抗性の検定法を開発するとともに、疫病抵抗性育種の交配母本として利用できるイチゴ品種の選定を行う。

[成果の内容・特徴]
  1. イチゴの疫病抵抗性は、105個/mlに調整した疫病菌の遊走子をポット苗に50mlずつ潅注接種し、5週後までの発病程度や生存率を調査することで評価できる(図1表1)。

  2. イチゴ品種「大村朱」、「宮崎」、「千代田」、「Selva」、「Shasta」、「Lassen」、「Senga Sengana」の7品種は、強度の疫病抵抗性を有し、疫病菌接種5週後まで病徴が生じず、生存率は100%である(表1)。

  3. 疫病抵抗性品種の中で、「大村朱」は抵抗性が特に弱い「アイベリー」や「彩のかおり」との交配でも、抵抗性が強い実生個体を得られることから、交配母本として有望である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. イチゴの疫病抵抗性育種における交配母本として活用できる。

  2. 「大村朱」は、長崎県内の個人育種家が1982年に品種登録したイチゴ品種である。

[具体的データ]

図1 イチゴの疫病抵抗性を評価するための接種試験の手順


表1 イチゴ39品種における疫病菌接種後の発病所要週数および5週後の発病程度と生存率


表2 イチゴ3品種の交雑実生における疫病菌接種5週後の発病程度別個体発生率

[その他]
研究課題名:周年出荷体系を目指した糖度安定型耐病性イチゴ品種の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2006年度


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