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トルコギキョウの脂肪酸不飽和化酵素遺伝子の単離とRNAiベクターの構築


[要約]
トルコギキョウの脂肪酸不飽和化酵素遺伝子(EgFAD7:Eustoma grandiflorum Fatty acid desaturase) をcDNAライブラリー等より単離してその構造及び塩基配列を明らかにした。単離したEgFAD7全長(開始〜終始コドン)をもとにFAD遺伝子RNAiベクターを構築した。

[キーワード]
トルコギキョウ、cDNAライブラリー、脂肪酸不飽和化酵素遺伝子、クローニング、RNAiベクター

[担当]
福岡農総試・バイオテクノロジー部・遺伝子操作チーム

[代表連絡先]電話092-924-2970	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
地球の温暖化傾向が進む中、トルコギキョウの安定生産には耐暑性を付与した品種の育成が求められている。しかし、高度の耐暑性遺伝資源が存在しないため、交雑育種で育成することは困難である。そこで、遺伝子組換え法により耐暑性を付与するため、植物の温度感受性に関与する脂肪酸不飽和化酵素遺伝子を単離して塩基配列を明らかにするとともに、RNAiベクターを構築する。

[成果の内容・特徴]
  1. 既知FAD遺伝子(AtFAD、NtFAD等)のアミノ酸配列情報をもとにディジェネレートプライマーを設計して、トルコギキョウ「あずまの粧」由来のcDNAライブラリー及びゲノムDNAを鋳型としたPCRにより、トルコギキョウの脂肪酸不飽和化酵素遺伝子(EgFAD7)の構造(図1)及び全塩基配列(データ略)を明らかにした。

  2. EgFAD7は、開始コドンから終止コドンまでの全長が2,272塩基であり、8ヵ所のエキソンと7ヵ所のイントロンを持ち、433残基のアミノ酸をコードする(図1)。

  3. EgFAD7のアミノ酸配列は、Perilla frutescens (シソ)と80.9%の相同性があり、他の植物とも70%以上の相同性がある(表1)。

  4. FAD7遺伝子は通常、ジエン脂肪酸からトリエン脂肪酸への不飽和化に作用する(図2)。

  5. cDNA全長と第5イントロンの塩基配列情報をもとに、FAD遺伝子RNAiベクターを構築した(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 塩基配列や翻訳されるアミノ酸配列情報は、DDBJに登録済み(AB271690)である。

  2. 構築したRNAiベクターは、遺伝子組換え法によるトルコギキョウの脂肪酸組成比改変に活用できる。

[具体的データ]

図1 EgFAD7の構造


表1 EgFAD7と他植物FAD遺伝子のアミノ酸配列相同性


図2 FAD7にコードされる脂肪酸不飽和化酵素の作用部位


図3 EgFAD7のRNAiベクターのT-DNA領域

[その他]
研究課題名:クロスレジスタンス遺伝子のクローニング
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2005年度


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