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メッシュ気象情報を用いたクワシロカイガラムシふ化盛期予測法の現地適合性


[要約]
長崎県内の主要茶産地において、500mメッシュ気象情報の気温の推定値を用いてクワシロカイガラムシの防除適期であるふ化盛期予測を行うと、実際のふ化盛期との差が各世代の平均で1.4日から3.2日の範囲で予測できる。

[キーワード]
チャ、クワシロカイガラムシ、メッシュ気象情報、推定値、有効積算温度、ふ化盛期予測

[担当]
長崎県総合農林試験場・東彼杵茶業支場

[代表連絡先]電話0957-46-0033	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
クワシロカイガラムシは樹冠内に寄生しており、防除適期である幼虫ふ化盛期の把握が難しい。これまでに有効積算温度則を利用して、ふ化盛期を予測できることが明らかにされているが、これを生産現場で活用する仕組みが必要である。そこで、長崎県内の主要茶産地において、「ながさき農林業情報システム500mメッシュ気象情報」(アメダス観測所観測データに地形因子を加味した推定値)を活用したふ化盛期予測法の適合性を検証する。

[成果の内容・特徴]
  1. 推定値(メッシュデータ)に基づく第一世代ふ化盛期の予測日は、調査した3カ年とも各産地(表1)における実測日との差が3日以内であり、差の世代平均は1.4日である(表2)。

  2. 推定値に基づく第二世代ふ化盛期の予測日は、各産地における実測日との差が最大で7日、差の世代平均は3.2日である(表2)。しかし、予測日の方が実測日より早いことから、実際にふ化状況を確認することで薬剤散布時期の修正が可能である。

  3. 推定値に基づく第三世代ふ化盛期の予測日は、各産地における実測日との差が最大では5日あるが、差の世代平均は2.2日である(表2)。

  4. 気温(時度)データが取得できるアメダス観測所の観測データをそのまま用いると、第一、第二世代における差の世代平均がそれぞれ12.9日、8.5日となり、推定値を用いた場合に比べて大きくなる(表2)。

  5. 気象観測装置がない任意の地点における気象情報を、アメダス観測所観測データに地形因子を加味して推定する500mメッシュ気象情報の気温(時度)データは、ふ化盛期の予測に用いることができる。

[成果の活用面・留意点]
  1. ふ化盛期の予測について、第一世代は野菜茶業研究所武田氏の方法、第二・三世代は静岡県茶業試験場久保田氏の方法を用いた(表2下注2)。

  2. ふ化期に降雨が続く場合はふ化が抑制されるので、ふ化盛期の実測日は予測日よりも遅れる。特にふ化期が梅雨時期にあたる第二世代は注意を要する。

  3. 前世代の予測日を起算日とすると、第二、第三世代では実測日との差が大きくなるので、実際に各世代のふ化状況を確認するのが望ましい。

[具体的データ]

表1 調査場所


表2 クワシロカイガラムシのふ化盛期予測日と実測日との差(実測日を起算日)

[その他]
研究課題名:気象と生育予測による茶園管理技術とクワシロカイガラムシ防除法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度


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