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茶園の更新によるうね間拡大と窒素溶脱量


[要約]
茶園の深刈りや中切り更新後のうね間幅拡大により、雨水の地面への落下や地下への浸透水量が増え、地下への硝酸態窒素の溶脱量も高まる。

[キーワード]
チャ、深刈り、中切り、うね間幅、浸透水量、硝酸態窒素濃度

[担当]
鹿児島農総セ・茶業部・栽培研究室

[代表連絡先]電話0993-83-2811	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
茶園管理で、数年に一度実施される深刈りや中切り実施後の肥料成分の溶脱については詳しい情報が少ない。また、茶園のうね間は施肥位置となるため、深刈りや中切り更新後はうね間の幅が広がり、多雨時期には硝酸態窒素の地下水への溶脱も多いと推測される。弧状から水平型への樹形変化にともなう施肥窒素の溶脱に及ぼす影響については、うね間のすそ幅を狭くすることにより落下水量が減少し、浸透水の減少にともない窒素溶脱量が減少する。そこで、茶園の更新時におけるうね間幅拡大が雨水の落下と地下への浸透に及ぼす影響について検証する。

[成果の内容・特徴]
  1. 茶園に降った雨水の地面への落下は、葉層のある更新前の茶園では、樹冠下への落下水が最も多く、うね間での落下水は少ない。しかしながら、深刈りや中切りで葉層が除去された更新後の茶園ではうね間幅拡大の影響を受け、うね間への落下水が最も多くなる(図1図2)。

  2. 深さ1mにおける浸透水量は、更新前の茶園では、株元>樹冠下>うね間の順に多くなるが、更新後にはうね間の浸透水量が増える(図3図4)。

  3. うね間の深さ1mの浸透水は、中切りや深刈りを行うと増加し、硝酸態窒素の溶脱量も高まる(図3図4表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 中切り等の更新園で、更新を行わない時の通常の慣行施肥を行うと、うね間の浸透水量が増えることによる硝酸態窒素の地下水への溶脱が懸念されるため、溶脱の少ない肥料や硝化抑制効果のある肥料を用いる。

  2. 供試茶園は、乗用型摘採機(曲率半径300cm)で管理している厚層多腐植質黒ボク土の「やぶきた」成園である。

  3. 供試茶園の施肥は当茶業部標準施肥による年間窒素施用量50kg/10aである。

[具体的データ]

図1 茶園の更新による各部位降雨の捕捉率の変化

図2 捕捉容器の設置位置


図3 更新前茶園の簡易ライシメータにおける降雨の処理区別浸透水率(異なる場所の3反復処理の平均値)

図4 中切り区の簡易ライシメータにおける降雨の処理区別浸透水率(11月29日調査)


表1 地下1m浸透水中の硝酸態窒素濃度の推移(mg/L)

[その他]
研究課題名:多様な品種特性に適応した環境保全型栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2008年度


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