台風襲来時のカンキツかいよう病防除薬剤の散布適期
- [要約]
- 台風襲来時にカンキツかいよう病の防除を行う場合、台風が接近する3〜1日前までの薬剤散布は効果が高いが、台風通過後に散布しても防除効果は期待できない。
- [キーワード]
- 台風、カンキツかいよう病、防除適期
- [担当]
- 長崎果樹試・病害虫科、大分農林水産研果樹・津久見試験地
[代表連絡先]電話0957-55-8740
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
カンキツの難防除病害であるかいよう病は、台風等の強風雨で発生が助長されるため、防風樹の植栽等の耕種的な対策と同時に台風襲来時には臨機的な薬剤散布が必要とされている。このため、一般的に台風前あるいは台風通過後の薬剤散布が勧められてきたが、その効果は十分に検証されていなかった。ここでは、カンキツ産地において防除体系を組み立てる際に必要な基礎的知見を収集するため、台風対策を想定した防除試験を行い、効果的な薬剤防除の適期を検証した。
-
[成果の内容・特徴]
-
- 台風による傷感染を想定した接種試験では、水酸化第二銅水和剤を用いた薬剤散布の効果は、無傷接種(図1)および付傷接種(図2)ともに接種3〜1日前の散布で高く、接種後の散布では効果は低下する。
-
台風接近時に行った防除試験では、台風が接近する前に水酸化第二銅水和剤を散布した場合には高い防除効果を示すが、台風通過後に散布すると時間の経過とともに低下し、1日後の散布では発病を抑制する効果は低くなる(表1)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
- させぼ温州、カボスおよびかいよう病罹病性の中晩柑等の台風襲来時の防除対策に活用できる。
- 平成18年11月に農薬登録が失効した抗生物質剤(ストレプトマイシン剤、オキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン剤)でも、同様に台風通過後の散布では防除効果は期待出来ない(試験成績省略)。
-
[具体的データ]
-

図1 薬剤散布時期が無傷接種によるカンキツかいよう病の発病におよぼす影響

図2 薬剤散布時期が付傷接種によるカンキツかいよう病の発病におよぼす影響

表1 台風襲来時にカンキツかいよう病対策として薬剤散布する防除時期がかいよう病の発病におよぼす影響
-
[その他]
-
研究課題名:カンキツ病害虫の防除
予算区分 :県単(委託)
研究期間 :2003〜2005年度
目次へ戻る